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小倉広メルマガvol.350 「映画『DESTINY鎌倉物語』はエンドロールをお楽しみに!」



vol.350 『映画『DESTINY鎌倉物語』はエンドロールをお楽しみに!』 



大学生時代、年間100本を超える映画を観た。
今も月に3本は映画を観たいと、企んでいる。

楽しみにしていた『DESTINY 鎌倉物語』を有楽町東宝の試写室で観てきて思った。
うん。期待通りに、いい映画だな、と。
そして思った。映画には、いろいろな楽しみ方がある、と。
だから、映画は止められない。

原作や脚本のストーリーを楽しむ。
役者の演技を楽しむ。(主演も脇役も)
衣装や小道具を楽しむ。
VFXやCGを楽しむ。
演出を楽しむ。
監督の茶目っ気や目配せを楽しむ。などなど。

僕は思う。どれも、正しい映画の楽しみ方だ、と。

かつて、僕は、正統派の骨太こそが真実で
ディティールはニセ者だと思っていた。
映画で言うならば、ストーリーや主役の演技こそが、
真実である、と。

でもね。そんなことないのよ。
王道でなくても、寄り道って楽しいよ。

今回の「鎌倉物語」は、その寄り道が、すごーく楽しかったのです。

だって、主人公の堺雅人や高畠充希が、歩いたり、車に乗って通る、
あの道ってあそこでしょ。
で、堺雅人が通う薬師丸ひろ子が女将の店ってあそこでしょ
(パンフレットを見て、それが勘違いであることが後ほど判明)
そんな風に、地元住民ならではの楽しみが、たくさーん、ある。

そしてね。脇役の存在感がすごい。
大仏警察署長(そんな警察署は実際にはない)
國村隼の得体の知れなさは、どうだ!

鬼才・安藤サクラの安定の演技は、どうだ!
(実力の7割くらいかな。本当は、もっとこの人はすごい)

大倉孝二や神戸浩も「こんな人いる、いる」という訳わからなさ、だし。
主人公の存在を食う脇役のすごさたるや、これも映画の醍醐味だ。

そして、エンドロールにもつながる「夜市」のアイディアが素晴らしい。
(おそらくホラー小説の名作・恒川光太郎「夜市」にインスパイアされているに違いない)

本筋ストーリーには、何の関係もない、エピソードだけど、
(厳密に言えば絡むのだが、別に夜市である必然性はまったくない)
こういった脇道、寄り道が、鎌倉の得体の知れなさを上手に伝えてくれるのだ。

もしも、映画の楽しみが、ストーリーだけにあるとしたら、
そんなにつまらないことはない。

ちょっとした、脇道、寄り道、監督による茶目っ気、目配せが映画の魅力のすべてだって、
それでいい、と僕は思う。

その極みが本映画のエンドロールだ。先の本筋に絡まない、夜市の、
ちょっとしたエピソードが、エンドロールにつながっている。
これが監督のちょっとした茶目っ気、目配せであり、
そんなところに映画の楽しみがあるのだ。

五年前にサハラ砂漠マラソンを走った時に、思った。

早く、ゴールに着かないかな。早く終わらないかな。
ゴールしたら感動するかな。

一週間、ずっと、ずっとそう思って、
毎日40km、時には80kmもの距離を走り続けた。

しかし、気がついた。それでは、この一週間は単なる苦痛ではないか。
快感はゴールの一瞬だけ。そして、マラソンが終わった時だけであるとしたら。
それまでのプロセスはすべて無駄ということなのか? それは、おかしいだろう。

そうではなく、この苦しい一瞬、一瞬のプロセスこそが素晴らしいのだ。
砂漠の砂に足を取られる、この忌まわしい苦しい一歩こそが素晴らしいのだ。
それを味わうために僕は砂漠にやってきたのだ。このプロセスこそが目的なのだ、と。

もしも、人生がサハラ砂漠マラソンだとしたら、同じことが言えるだろう。
金持ちになることが目的だとしたら、それまでのプロセスは地獄か?
金持ちになった瞬間だけが天国か? 本当にそうか?

マイホームを建てるのが夢なら、建てたその瞬間だけ幸せか?
それまでの貯金や節約の苦労は地獄か? 本当にそうか?

山登りの幸せは頂上に到着した時だけか?
それまでの上り坂は単なる苦痛で無駄な時間なのか? 本当にそうか?

そうじゃない。

その地獄かと思うような、希望に満ちた努力の日々。
毎日のちょっとした寄り道こそが天国であり、幸せなのだ。
つまり、今、ここ。この一瞬こそが天国だ。

それを映画「鎌倉物語」を観て思った。
エンドロールに監督の目配せと茶目っ気を観て。
名脇役のちょっとした名演技を観て。
鎌倉の路地の「ここで撮影したのか!」を観て。

それこそが映画だ、と。それこそが人生だ、と。
そんなことを映画の試写を観ながら、思った。

映画「DISTINY 鎌倉物語」は今週末から、全国でロードショー上映が始まります。
夫婦で、恋人と二人で観ることをお勧めするなぁ。
二人の夫婦喧嘩さえ、幸せなんだと、きっと思えるようになるからです。

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