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小倉広メルマガvol.343「ムリをしなければ脳の筋肉はつかない」



vol.343 『ムリをしなければ脳の筋肉はつかない』 
出典:任せる技術



◎ここ一番では「ムリをする」

また徹夜をしてしまった。
40歳を過ぎてから「ムリをする」働き方はやめよう、
と思って生活を改めてきた。しかし、ここ一番、という時は
今でも「ムリをする」ことが必要だ。

思えば20代後半から30代前半にかけてよく徹夜をしたものだ。
午前2~3時までデスクで頑張る。
家に帰って2~3時間仮眠をしてすぐに出社しようか?
いや、往復の2時間がもったいない。
ならばこのままオフィスの床に段ボールを敷いて寝てしまおう。
そんなふうにして週に2~3回は会社に泊まったものだ。

今にして思えば、僕が成長できたきっかけは、
すべて深夜0時以降の「徹夜仕事」から学んだことばかりだ。
それはいったいなぜなのだろうか?

スポーツジムで重いダンベルを持ち上げるトレーニング、
これにはいくつかの決まりごとがある。
あまりに軽いダンベルを何度持ち上げても筋肉はつかない。
だから、筋肉をつけるためには、
「ムリして」重いダンベルを持ち上げなくてはならない。

30回程度の基本回数を持ち上げた時に腕がプルプルと震えるほどの
限界の重さのダンベルを選ぶのだ。

その時、あなたの筋繊維はプチプチと破壊されるのだという。
しかしそれでいいのだ。
筋トレによりわざと筋繊維を壊すのだ。そして2日程度は筋トレを休む。
するとその間に摂取したタンパク質を使って
体が筋繊維をつなぎ合わせる。
その時に、以前よりも筋繊維が太くなって回復する。
これが「超再生」と呼ばれる筋肉がつくメカニズムだ。

それと同じことがあなたの部下の脳にも起きる。
つまり、「ムリを経験させる」ことで脳に筋肉をつけることができるのだ。
裏を返せば「ムリ」をさせない限り、
脳に筋肉がつくことはない、とも言えよう。
ムリを承知で任せるのだ。それがあなたの部下を育てる唯一の方法なのだ。

◎壁の手前に成長はない。壁の手前にやりがいはない

ムリをしない限り、脳の筋肉はつかない。
それと同じことがやりがいについても言えるだろう。
僕は職業柄、よくいろいろな方から仕事の相談を受ける。
20代、30代の若者に多いのがやりがいについての相談だ。

「小倉さん、今の仕事にやりがいが感じられないのです。
転職すべきかどうか迷っています。アドバイスを下さい」と言うのだ。
なぜやりがいがないの? と聞くと返ってくる答えは
2種類に大別される。

1つ目は「今の仕事が自分には向いていない」というものだ。
例えば営業をやっている人は自分に営業は向いていない、と言う。
本当にそうであるかは大いに疑問が残るのだが。
2つ目の理由は、「上司や会社に問題がある」というものだ。
職場に問題があり、上司に直訴をしても変わりそうにない。
だからあきらめて転職をする、と言うのだ。

僕はその2つを聞くたびにこう思う。

「その状態でどこへ転職しても、絶対にやりがいは見つかりませんよ」と。

「やりがい」とは、楽ちんな仕事を通じては手に入らない。
「やりがい」は壁を乗り越えた向こう側にあるものだからだ。
決して壁の手前にそれはない。
様々な障害やつらさを乗り越えた時に初めて僕たちは
「やりがい」に出会い、それを手にすることができる。

しかし、先に相談してくる人たちのほとんどは
壁を乗り越える前に逃げ出そうとしている人ばかりだからだ。

「自分は営業に向いていないかもしれない」。
たとえそう思ったとしても営業の仕事を誰よりも努力をしてやりきる。
その職種でトップを取る。
その後に初めてこう言う権利がある。「自分は営業に向いていません」と。

壁を乗り越えようともせず、逃げ出す口実として
「自分は営業に向いていない」と言う人は、
どこへ行っても「やりがい」に出会うことはできないのだ。
もちろん自分のやりたいことができないのを
上司や会社のせいにする人にも同じことが言えるだろう。

「ムリをさせる」ことは、脳に筋肉をつけさせる。
つまりは能力開発をするだけではない。
やりがいを見つけさせ体験させる。つまりは意欲開発、姿勢開発にも
つながるのだ。

人材育成とは、能力開発であり、意欲開発、姿勢開発である。
そのために必要なのが「ムリをさせる」ことなのだ。
決して温室でぬくぬくと育てることではない。

◎無理やりムリをさせることはできない

「ムリをさせる」ことが能力開発と意欲開発、
姿勢開発につながることはご理解いただけただろうか?

獅子は千尋の谷から我が子を突き落とす。よし、オレも部下を突き放すぞ。
そう決意された方も多いのではなかろうか。

しかし、注意をしてほしい。
上司が部下に無理やり「ムリをさせる」ことはできない。
部下がムリをするのは、自分から望み決意した時だけである。
部下が自発的かつ主体的にそうしたい、と思わない限り、
それを強制することは不可能なのだ。

「喉が渇いていない馬に無理やり水を飲ませることはできない」
という言葉がある。つまり、
「ムリをしても頑張りたいと思っていない部下に
無理やりムリをさせることはできない」のだ。
ここが難しいところだ。

では、いったいどうすれば部下の喉が渇くのか?
どうすればムリしてでも部下が頑張りたいと思ってくれるのか?
その点はこの後、お伝えしていこうと思う。

繰り返して言うが、無理強いはできない、
ということだけをここではぜひ覚えておいていただきたい。

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