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小倉広メルマガvol.340 上司とソリが合わないと「干される」



vol.340 『上司とソリが合わないと「干される」』 
出典:任せてもらう技術



◎部下は上司を選べない

リクルート時代、僕にはもう1人、苦手な上司がいた。
苦手というより、はっきりいえば嫌いだった。
仮に名前を根本さんとしておこう。
当時の僕の目から見れば、
根本さんは、部下に仕事を放り投げておいて、
自分は何の指示もフォローもしてくれない人だった。

僕が相談や確認をしたくても、そもそも会社のデスクにいることが少なく、
連絡を入れても返事はない。
それなのに、企画提出の締め切り間際になると突然あらわれて、
「こんなものは使えない」といい出すのだ。
僕も生意気だったので、
「打ち合わせをしたくても、根本さんは会社にいないじゃないですか」
といい返したこともある。
しかし、向こうはそんなことにはおかまいなし。
「席にいなくても、なんとかしてオレをつかまえればいいだろう」
と居直る始末だった。

こんなやりとりを繰り返すうち、僕はどんどん根本さんを嫌いになり、
なおさらホウレンソウもしなくなった。すると向こうもイライラして、
いっそう僕に強く当たるようになった。
こうして、お互いがお互いを嫌うという、
完全な悪循環ができあがってしまったのだ。

こうなると当然ながら、根本さんは僕に仕事を任せなくなる。
あからさまに仕事を取り上げるようなことはなかったものの、
重要な仕事、楽しそうな仕事はほかのメンバーが担当するようになっていった。
僕は「干されて」しまったのだ。

これほどひどくはなくても、
上司とソリが合わないと感じている人はたくさんいるだろう。

上司も部下も人間だから、好き嫌いがあるのは仕方がない。
ただし残念ながら、会社に属するサラリーマンは、
上司を選ぶことはできない。
いくら嫌いでも、明らかに上司のほうに非があったとしても、だ。

◎人間性ではなく、立場を敬うんだ

では、そんな場合、部下はどうすればよいのだろうか。
さまざまな上司の下で働いて、悩んだ末に僕が出した結論は、
「どんな上司でも、部下はそれを受け入れるしかない」ということだ。

僕が尊敬する教育者であり、哲学者である森信三先生は、
著作のなかで「人ではなく、立場を敬いなさい」と説いている。
森先生のいわんとするところはこうだ。

「この社会は秩序の世界であり、秩序は必ず上下関係によって
成り立っている。ただし、この上下は、その者の人間性によって
決まる訳ではない。多くの場合は、学歴や年齢といった
社会的な約束によって決まる。そこでいちいち、
“人間性が豊かだから尊敬する”
“人間性に乏しいから尊敬しない”といっていては、
社会の秩序を保つのは難しくなる。

この社会に生きる人聞がとるべき真の道は、相手の人物像にかかわらず、
その人の立場や地位に対して相応の敬意を払うことだ。

たとえ上位者が凡庸な人間だからといって、
その相手を軽んじるような人は、自分こそがその上位者よりも 劣った人間であるといわざるをえない……」

これを読んだときに、僕は目からウロコが落ちた気がした。

その人自身ではなく、その人の立場を敬う。
そんな考え方もあるのか……、と。

たしかに、「何であんな人の下に配属されたんだろう」と
愚痴や不満をいったところで、自分には何の得にもなりはしない。
それが原因で仕事へのやる気を失ったり、手を抜くようになったら、
それこそ「任せてもらえない人」への道をまっしぐらに進むことになる。

ソリの合わない上司本人を尊敬する必要はない。
ただし、「あの人は性格が悪い」と騒ぎ立てていては、
自分だってその上司と同類だ。

人間的には尊敬できないとしても、上司の立場を尊重して、
相手を立ててあげられる自分。そのほうが、社会人としてカッコいい。
人間としての格も高くなる、とは思わないだろうか。

ぜひキミには、そんな考え方にチャレンジしてほしい。
任せてもらえる部下になるために、ね。

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