作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

小倉広メルマガvol.339 ワガママな青虫を育てよ



vol.339 『ワガママな青虫を育てよ』 
出典:とにかくすぐに「稼げて・動けて・考えられる」社員のつくり方



◎みにくい青虫が美しい蝶になる

高校野球甲子園大会優勝の常連、松坂大輔を生んだ
名門・横浜高校の渡辺元智監督は、選手に対する深い愛情を持ち、
人間教育をすることで有名です。しかし、この仏様のような渡辺監督。
彼が若かりし頃は、生徒に鉄拳制裁を行い、
奥さんを飯炊き女のように扱う修羅の鬼だったことは、
あまり知られていません。あの渡辺監督でさえも、周囲に迷惑をかけながら、
甲子園優勝だけをがむしゃらに目指していた「ワガママな時代」
があったのです。

美しい蝶は最初から蝶として生まれてきたわけではありません。
むしゃむしゃと自分が食べたいだけ葉っぱを食べ、
植物に迷惑をかけるワガママなみにくい青虫の時代が必ずある。
そして、好きなだけワガママをした、
みにくい青虫がやがてさなぎを経て蝶になる。

すると蝶は、その美しい羽で優雅に舞い、人々の目を楽しませる。
さらには花の蜜を吸うだけでなく、おしべの花粉をめしべに運び、
花の受粉を手伝っている。つまり、優雅に美しさを振りまきながら、
かつ植物を助ける「利他の心」を発揮できるようになるのです。

◎ワガママで自分勝手な青虫こそが必要

渡辺監督も同じです。自分勝手にむしゃむしゃと葉っぱを食べ尽くす
青虫の時代を通り抜けで蝶になった。
いや、ワガママな青虫だったからこそ、蝶になれた。
渡辺監督はがむしゃらに勝利に向かって死にもの狂いで頑張っていた。
だからこそ、周囲は彼のワガママを許し、彼を助けた。
そして、彼は自ら望んでいた勝利を手に入れた時に初めて、
周囲の協力という存在に気がつくのです。

「オレは自分の力だけで勝利を手にしたんじゃなかったのか。
これだけの人に助けられ、これだけの人を犠牲にしながら勝利を手にした。
これからはご恩返しをしなくてはならない」。
そう気づいた時に本物の蝶になれるのです。

これこそがリーダーを育てる、「分身」を育てるステップです。
最初から蝶をつくろうとしてはいけない。
まずは、あえて、ワガママな青虫を育てるのです。
そして、むしゃむしゃと葉っぱを好きなだけ食べさせる。
営業マンであれば自分の売上数字を、
技術者であればいい製品やシステムつくりを。
多少なりとも周囲に迷惑をかけたり、個人プレーがあったりしても。
まずは勝利に向かってがむしゃらに走る人をつくること。
それが「稼げる社員」をつくるために絶対に必要なステップです。

最初からバランス感覚のとれた人や「利他の心」を大切にする蝶を
つくろうとしてはいけません。まずは、あえて青虫を育てる。
そんな組織づくり、人づくりをしていくことが肝心なのです。

◎小さな蝶を採用してはいけない

かつて我が社では青虫を排除し、小さな蝶を採用し
育てようとした時期がありました。「リーダーを育てる」。
それを事業の根幹としている以上は、
我が社の社員は全員リーダーでなくてはならない。
そう考え、青虫ではなく蝶を採用し、
すぐに蝶に育てようとしてしまったのです。つまりは青虫を排除した。
青虫の段階を許さずに、
すぐに「利他の心」を持つ蝶を育成しようとしたのです。

これを「厳しさ」が根付く前にやってしまった。
さらには、企業の成長に合わせて人員を大量採用してしまった。
その後に起きたのは、見事なまでの水ぶくれと、
組織に蔓延する「甘ちゃん」の風土でした。

入社する前に我が社が大切にする「利他の心」や
「助け合い」の精神に共感した彼らは、
自らのやるべきことをやり切る前に他人を助けるようになりました。
そして、優しさを発揮する蝶になるために、
「厳しく」相手や部下に求めることをしなくなっていきました。

やるべきことをやり切る前に、青虫になる前に、いきなり蝶を目指した。
その結末は悲惨でした。業績の急降下。
そして、あわててハンドルをもとに戻したことによる社員たちの混乱。
それらの中で改めてセオリーを守ることの大切さに深く気づいて
いったのです。

青虫を採る。青虫を育てる。そして「厳しさ」の土台を築く。
まずはそこから始めようではありませんか。
青虫同士が起こすトラブルや摩擦は、リーダーが後始末をすればいいのです。
一番困るのはトラブルや摩擦ではない。
全員がきれいな服をきておしとやかに歩く。
蝶ちょだらけの儲からない会社です。順番を間違えてはならないのです。

Top