作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

小倉広メルマガvol.326 「能力」よりも大切なものがあるよ



vol.326 『「能力」よりも大切なものがあるよ』 
出典:任せてもらう技術



◎「予期せぬこと」で目の前のバーを下げていないか?

仕事を進めるなかで、「予期せぬこと」というのは必ず起きる。
予定通りに最後まで物事が進むことは、まずないといっていい。

しかも予期せぬことのほとんどは、トラブルやミス、
他人からの横やりなど、マイナスの方向に働くものばかりだ。

そんなとき、人はどうしてもくじけてしまう。
やる気を失ったり、妥協をしたり、
時には「もういいや」と途中で投げ出したりもする。

つまり、多くの人は「邪魔が入ったのだから仕方ない」と考えて、
乗り越えるべきバーの高さを下げてしまう訳だ。
「100点を目指していたけれど、こんなことが起こったんだから、
80点でもしょうがないよね」と。

だが、仕事を任せてもらえる人は違う。むしろ、自らバーを上げ続け、
80点よりも100点、100点よりも120点と、
目指す位置をどんどん高めていく。

それができるかどうかを決めるのは、能力ではなく、
「絶対に投げ出さない」という覚悟の有無だ。
僕はそう考えている。

それを強く実感するようになったのは、
マラソンを始めたことがきっかけだった。

僕が初めて出場したレースは「NAHAマラソン」だった。
そして結果からいえば、
制限時間オーバーによる失格に終わった。

42.195kmのゴール地点までは辿り着いたものの、
直前でゲー卜を閉められてしまったのだ。
とはいえ、そのうち僕は走ったのは、せいぜい最初の10km程度。
その後はほとんど歩きっぱなしだった。

もちろん、走れなかったのには理由がある。

はじめに太ももの付け根が痛くなり、
次に太ももの裏側の筋肉がつって、
最終的には足の裏もズキズキと痛み始めたのだ。

こうした予期せぬ痛みが生じるたびに、
僕は「こんな状態じゃ、走れなくても仕方ない」と思った。
そしてだんだん、「歩いてでもゴールできればいい」
と考えるようになった。
「棄権してしまおうか」という考えも、
途中何度も頭をよぎった。

これは典型的な、目の前にあるバーの高さを、
自分でどんどん下げていった例といえるだろう。

たしかに、そのときの僕には、走れない言い訳がたくさんあった。
しかし後から、言い訳をした情けない自分に対して、
後悔の念がわき上がってきた。

◎覚悟があれば100kmだって完走できる

そこで翌年、「OSJおんたけウルトラトレイル100km」
というマラソンへの挑戦を決めたとき、
僕は「絶対に完走する」と決意した。

42kmも完走できないのに、100kmに挑むなんて馬鹿げていると
思われでも仕方ない。しかもこのマラソンコースは
1500m級の山がいくつも連なっており、激しいアップダウンが続く山道を、
徹夜で20時間以内に走り抜くという過酷なものだ。

だが、僕は最後まで絶対にあきらめないという覚悟を決めていた。
そして結果。無事、完走を果たした。

しかも制限時間が20時間のところを、18時間30分で完走できたのだ。

ここで知っておいてほしいのは、
予期せぬことが起こらなかったから、完走できた訳ではない、
ということだ。
むしろ前回の比ではないくらい、アクシデントの連続だった。

まず、スタートからわずか3kmの地点で、
突然脇の下から血が流れ始めた。
着用していた下着の生地が硬かったせいで、
皮膚がこすれて傷になったためだ。

腕を振るたびに脇がヒリヒリしたが、完走すると決めたからには、
「この痛みとずっと付き合うしかない」と腹をくくった。

20km地点にさしかかったころ、今度はむくんだ足の甲が、
靴ひもを留める金具に当たって強烈な痛みを感じるようになった。
もちろん、こうなることを予想して、
金具が当たる場所にクッション材を貼っておいたが、
土砂降りの雨が降ってきて、靴の中が蒸れて
クッション材が剥がれてしまったのだ。

それからも予期せぬ障害は続いた。
山道を走っているときに、両手に持っていたストックのうち、
1本がポキッと折れてしまった。
かと思ったら、今度は塩分を補給するための錠剤を
どこかで落としてしまい、塩分不足によるめまいで
目の前がぐらぐらし始めた。

こんな具合に、途中で走るのをやめる理由はいくらでもあったのだ。
でも、僕はやめなかった。

◎言い訳するのか、しないのか

このレースの完走率は8割程度だ。
棄権する人はかなり多い。

そのなかには、過去にハーフマラソンやフルマラソンで
実績を残してきた人もいたし、
本格的なトレーニングを積んで筋力や持久力を鍛えてきた人もたくさんいた。

そういう人たちに比べれば、ランナーとしての僕の能力は低かった。
それでも、僕は完走できて、彼らは完走できなかった。

その明暗を分けたのは、覚悟の有無だ。
予期せぬトラブルやケガは、ほぼ全員に降りかかる。
それを言い訳にして棄権するかしないか。
それは本人の覚悟にかかっているのではないかと思う。

これは、仕事の場面でもまったく同じだ。

上司は経験則として、そのことを知っている。
上司は、部下の覚悟の有無を「言い訳をするのか、しないのか」で判断する。

キミはこれまで、言い訳して仕事を投げ出したことはなかっただろうか。
本気で任せてもらいたいと思うのなら、まずは言い訳を捨てることだ。

Top