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小倉広メルマガvol.324 リーダーは嫌われることを恐れるな



vol.324 『リーダーは嫌われることを恐れるな』 
出典:折れない自分のつくり方



◎釈迦が説く人生の真理

他人の顔色をうかがい、他人の評価を気にしてしまうのは、
他人に嫌われたくないという人間の性なのかもしれない。

人は誰しも自分が可愛い。社会の中で孤立したくないと思っている。
他人に良く見られたい。悪い印象を持たれたくない。
だから人は、自分の中で、知らず知らずのうちに、
他人軸を育ててしまう。

だが、リーダーはそれではいけない。

時として嫌われることを恐れてはならない。
むしろリーダーとは嫌われることを厭わずに、
決断することが求められる職種だと言えるだろう。

釈迦も次のように言っている。

「他人が何をしたか、また何をしなかったかに心を向けてはいけない。
自分が何をしたか、何をしなかったかだけに心を向けよ」

意味は明らかだ。

つまり「人の言動を気にするな、自分を指差し考えろ」ということだ。
それは「他人軸たるな、自分軸であれ」ということ、でもある。

この言葉にふれて私は、自分軸とはなんておおらかなのだろう、
と心が軽くなる思いがした。
他人があれこれ言う様が、枝葉末節に思えるようになったからだ。
そして、人に嫌われることが次第に怖くなくなっていった。

リーダーにとって重要なのは、自分が正しいと思うことを
やり続けられるかどうか、だ。
そして、その信念にメンバーを巻き込んでいく。強制もせず、迎合もせず。
自らの信念でメンバーの気持ちを染め上げていくのだ。
その過程において迷ってはいけない。
他人軸に振り回されてはいけないのだ。

◎上撰白鶴のCMに見る上司の理想

上司と部下の理想的な関係を映像化した印象深いCMがある。
上撰白鶴のコマーシャルだ。覚えている方もいるのではないだろうか。

状況はこんな感じだ。20代であろう若い青年たちが同窓会で恩師を囲み、
酒を酌み交わしている。
上座には、塩見三省演ずる恩師が一人静かに酒を飲んでいる。
そこへ、福士誠治演ずるかつての生徒が酒を注ぎにやってくる。
そして恩師に語りかける。

「先生。オレ、先生のこと嫌いでした」
「……だから、オレも、嫌われる教師になろうと思います」

恩師は、一瞬表情を変えるが、何も言わずに杯を飲み干す。
そんな内容のCMだった。言わずもがな、そこには省略されたセリフがある。
だからこそ印象深いCMに仕上がっている。

無粋を承知であえてそれを書き足すならば、次のようになるであろう。
「先生。オレ、先生のこと嫌いでした」
(『でも、今になってようやくわかりました。
先生の厳しさが本当は優しさだった、ということに』)
「……だから、オレも嫌われる教師になろうと思います」

どんなに正しい言葉でも、相手に理解されないことがある。
どんなにすばらしい言葉でも、相手に届かないときがある。
このCMの中の教師は、それでも生徒に厳しく接した。
反発されても、自分が正しいと思うことを信念に従って貫いた。
それが本当に生徒のためになることだと確信していたからである。

そのときはわかってもらえなかったかもしれない。
しかし10年経ち、20年経てばやがては理解してもらえるものなのだ。
相手が成長することで、
機が熟して初めて受け入れてもらえるようなことがあるのだ。

◎リーダーと部下では見ている世界が違う

ドラッカーもまた、リーダーは人気投票をしてはいけないと言い、
周囲と迎合することを戒めた。
そしてリーダーの役割は、
今日とは違う明日を描き、未来を創ることであると定義した。

この定義にチームのメンバーを当てはめるならば、
昨日の後始末をし、今日の食い扶持を稼ぎ出すのが、
彼らの役割と言えるだろう。

これほどまでにリーダーとメンバーでは、見ている世界が異なっている。
だから、理解されないことがある。
いや、むしろ理解されなくても当たり前と思うべきなのだ。

昨日今日を見ているメンバーと、未来を創るリーダーの仕事は、
決してイコールにはならない。
だから、メンバーに理解されることのみに執着すると、未来は創れない。
リーダーの仕事はわかってもらえないのが当然であるとも言えるのだ。

だが、理解されなくても、わかってもらえなくても、
リーダーはメンバーに言い続けなければならない。
そう。
中央タクシーの宇都宮会長が一万四も言い続ける、
と覚悟したように。
それによって部下はあなたから遠ざかっていくかもしれない。
あなたは孤立するかもしれない。

だが、私は思う。

リーダーは時には嫌われ者になることも必要だ、と。
それを恐れないでほしい、と。

くじけそうになったら、私が反芻した次の言葉を思い出してほしい。
強制するな。迎合するな。

メンバーとチームに対する愛と良心から出発し、
正しいと思うことを確固たる信念に従って行うならば、
私たちリーダーは恐れることは何もない。
たとえ今は理解されなくても、必ずいつかわかってもらえる日が訪れるのだから。

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