作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

小倉広メルマガvol.321 「社会規範を守る」と伝わる



vol.321 『「社会規範を守る」と伝わる』 
出典:なぜ、上司の話の7割は伝わらないのか



道徳であったり、倫理であったり、礼儀であったり。
そういった社会規範を守ることは社会との約束を守ることにつながります。
多くの上司は「社会規範を守ることと仕事は関係ない」と考えますが、
部下は両者をつなげて見ています。

そしてそこに矛盾を感じると、
部下は「この上司は信用できない」と思ってしまうのです。
部下との信頼関係を築くためには、人が見ていようが見ていまいが関係なく、
上司は自らを律していかなければなりません。

◎倫理観は人それぞれ

今でこそタバコのポイ捨ては少なくなりましたが、
昔は当たり前のようにポイ捨てされていました。
それに対し、怒る人もいれば、別にいいんじゃない?と思う人もいました。

また、仕事が終わらず飲み会の約束を当日ドタキャンすることについても、
「しかたがないね」と言う人もいれば、
「それはないでしょ」と言う人もいます。
道徳観は人それぞれ。どれが正しいとは言えないのです。

この間、私は、居酒屋で部下とご飯を食べていました。
私は「お勘定をお願いします」と言い、
お店の人に伝票を持ってきてもらいました。
部下はその伝票を見て、
「小倉さん、ビールが2本になっていますけど、私たちは3本飲みましたよね?
1本分が伝票についていないです」と言いました。
もしも、あなたが私の立場だったとしたら、
普段どのような態度を取っているでしょうか?

その時に私が「ラッキー、1本得したね」と言ったとしましょう。
そうしたら「ラッキーでしたね」と言う部下もいれば、
「この上司はひどいな、こんな人の下で働くのは嫌だな」
と思う部下もいるわけです。

倫理観が難しいのは、とくに女性に多いのですが
「この上司には倫理観がない」
と一度思われると、生理的に嫌われてしまうことです。
「この人、無理」「あり得ない」となってしまうわけです。
こうなると、上司が何を言っても部下に聞いてもらえません。

それを前提に考えると、
上司が部下に話を伝えたいと思うならば、たとえば部下が3人いる上司は、
その3人から自身の倫理観や道徳観について「OK」を貰わなければなりません。
もし部下が300人いるのであれば、
300人全員からOKと言われなければならないのです。
部下の人数が多くなればなるほど、
上司の倫理観や道徳観に対する部下の目は厳しくなります。

「ノブレス・オブリージュ(Nobless Oblige」というフランス語があります。
日本語に訳すと「高貴なるものの責任」です。
つまり、位が高い人ほどより自分に厳しくあらねばならないということで、
自分の話が部下に伝わるよう信頼関係を作っていきたいのであれば、
部下以上に自分を律する厳しい心、つまり「ノプレス・オブリージュ」
を持たなければならないのです。

◎礼儀は社会への「敬」

きちんと挨拶をする。丁寧にお辞儀をする。目上の人を立てる。
これらを「礼儀」と言います。
かつての私は、礼儀を古くさく堅苦しいものと思っていました。
現代社会では礼儀なんてそんなに重要ではないのではないか、
仕事に関係ないのではないか、と考えていたのです。

実はそうではありません。
礼儀をきちんと守るということは、
世の中や社会に対して敬意を表することとイコールなのです。
もしも、上司が礼儀を無視するような行動を取ると、
チームのメンバーも規範を守らなくなってしまいます。
たとえば上司が部下に、遅刻をするな、ルールを守れ、と言いながら、
自分自身は世の中の規範や礼儀を守っていないとしたら、
非常に矛盾するわけです。

ですから、上司が部下にチームの規範を守ってほしいのであれば、
必然的に上司自身が世の中の礼儀やルールを守らざるを得ないのです。

ところが我々上司は、普段そういったことを意識していません。
酒を飲んで大騒ぎをしてお店に迷惑をかけたり、
ビール代が伝票についていなかったら部下に「黙っておけよ」と言って
支払わなかったり。
その一方で、部下には「会議の5分前には集合しろよ」と言うわけです。
上司からするとこれらは別々な事柄です
が、部下から見れば同じこと。
「この人はあんなことをしておきながら、人には偉そうなことを言っている」
「信用できないな」となるのです。

しかし、私が「礼儀や社会規範を守ることは大切です」と言うと、
「それは理想論ですよ」と言われることが多いのです。
確かにこれは理想です。
100%守ることは難しいかもしれません。
ただ、上司が礼儀を大切にし社会規範を守ることで、
部下の上司に対する信頼が高まることは確かです。
信頼が高まれば上司の言うことが部下に伝わりやすくなります。

礼儀や社会規範を60点守っている人よりも80点守っている人の話のほうが、
部下には伝わりやすいのです。
礼儀を通して社会に「敬」を示す。これも上司に求められている姿勢です。

◎誰も見ていない時こそ守る

「慎独(しんどく)」という儒教の言葉があります。
誰も見ていない1人の時も己を慎む、という意味です。
社会規範についても同様で、
上司は部下に見られているから規範を守るのではなく、
誰も見ていなくても守らないと付け焼刃になってしまいます。

たとえば上司が、部下と一緒にいる時はお店の人に丁寧な口の利き方をします。
しかし、その上司が1人で飲んでいる時に
たまたま部下が近くに座って、
上司がお店の人に対しぞんざいな口を利いているのを聞いたとしたら、
部下は「この上司は裏表があるんだな」と思うでしょう。
それでは部下に信頼されません。

また、慎独は「人を見ない」ということでもあります。
西郷隆盛は「人を相手にせず、天を相手にせよ」と言いました。
https://www.ogurahiroshi.net/wp-admin/profile.php 天というのはお天道様のことです。つまり、人がほめてくれるからやる、
人に叱られるからやるのではなく、
お天道様に恥ずかしくないよう自分の良心と信念に従って生きていく。
それが部下から尊敬され、
ついていきたいと思われる上司の姿だと私は思います。

Top