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2月13日配信 小倉広メルマガvol.306 「メンターを持つために完壁主義を捨てる」



vol.306「メンターを持つために完壁主義を捨てる」
出典:人生を後悔しないために38歳までに決めておきたいこと


◎富士山は遠くから見ると美しいが、近づくと粗が見える

メンターとは一般的に仕事・プライベートを問わず、
何かにつけて相談ができ、アドバイスをもらえる存在のことを言います。
昔の言葉で言えば、師匠の「師」、尊敬する人などがこれにあたります。

僕はつい最近、44、45歳になって初めてメンターを持てました。
それまでは、「小倉さんの師は誰ですか?」と聞かれても
答えられなかったのです。
一般的に考えれば「別にメンターなんて、いなくていいじゃん。」
と思うかもしれません。
けれど、僕は心のどこかで、師がいない自分に恥ずかしさを感じていました。
尊敬できる先輩を持てない自分は、何かが欠落しているのではないか。
そう思えてならなかったのです。
当時、僕は自分がなぜそう思うのかがわかりませんでした。
いや、もっと言うならば、自分になぜ師がいないのかもわからなかった。
それが最近、一気に謎が解けたのです。

なぜ自分がメンターを持てなかったのか。
それは、メンターとなるべき人の欠点や足りない点をあげつらい、
その結果、
「相手を全面的に受け入れられない」と思っていた「自分の小ささ」に
原因があることがわかったのです。
つまり、相手にどこかイヤなところがあったり、劣っているところがあると、
そこばかりを見る。
そして、「こんなに未熟な人を師匠になんでできないよ」という気持ちになる。
僕はまさにそうでした。
「こんな人はオレのメンターじゃないな」とか「この人よりオレのほうが上だろ」
と変な我を張って、相手を受け入れられなかったのです。

人に難癖をつけて「尊敬できない」と言っている僕は、
人を受け入れることのできない器量の狭い人間だったということ。
それに気づいたときに謎が解けたのです。

「メンターがいない自分は器量が狭い、と薄々感じていた。
だからこそメンターがいない自分が恥ずかしかった。
何かが欠落しているような気がしていたんだ」と腑に落ちたのです。

富士山は遠くから見るととても美しく、素晴らしい山です。
しかし、近くで見ると岩がゴツゴツしているし、
ゴミがたくさん落ちていて汚い。
では、富士山は美しくないのか、というと、そうじゃない。
やっぱり素晴らしい山なのです。

それは人間も同じこと。距離的に遠くにいる人のほうがよさがわかり、
近づくと必ず粗が見える。
師にするということは、その人に近づくということ。
だから、その人の粗が見てしまうのが普通です。
しかし、いくらメンターであったとしても所詮は人間です。
完壁な人はいない。
いい面も悪い面も含めてその人なのであって、
そこを含めて認める、尊敬するしかないのです。

そういう風に考えるようになってから、
僕は素晴らしいメンターを持つことができるようになりました。
メンターを持つと、本当の意味での学びや気づきがあります。
そして人として成熟できる。
人生においても仕事においても脂が乗ってくる40代だからこそ、
メンターを持つことを皆さんにお勧めします。

◎メンターが“きっかけ”を作ってくれる

「メンターを持てって言われでも、どうやって探せばいいの?」、
「そもそもメンターを持つ具体的なメリットがわからない」。
そんな人に、僕の例をlつ紹介しましょう。

ありがたいことに、僕には何人かの尊敬できるメンターがいます。
その1人である古川裕倫さんは、50代の作家の大先輩です。
しかし、古川さんはお酒をご一緒させていただくと、
ごく普通のかわいい酔っ払いになってしまいます。
酔って何回も同じ話をして、テーブルでうとうとしたり、
次の日には話した内容をまったく覚えていなかったり。

講演をされているときは、あんなにも立派で堂々としているのに、
お酒を飲むと、
どこにでもいるごく普通の酔っぱらいにしか見えないのです。
ある日のこと。
そんな古川さんが僕をお酒に誘ってくれました。
すると、いつものごとく、すぐにろれつが回らなくなってきました。
そして、同じセリフを何回も何回も、繰り返すのです。
「小倉さん。あなたはすごい!たいしたもんだ!
いや、日本を変えなくてはならない!」

僕にはそれが酔っぱらいの戯れ言には聞こえませんでした。
古川さんが、お酒に酔っていらっしゃるとはいえ、
その心根に情熱があるのを感じたからです。
そして、僕をほめて下さる。
たとえそれがお世辞でも僕には嬉しかった。
だから僕はこう答えました。
「日本を変えるって。いったい僕に何ができるんでしょうか?
僕は何をしたらいいんですか?」と。
すると古川さんは「人間教育だ!」と即答します。

今の世の中に欠けているのは人間教育だ。
人間とは何か、いかに生きるべきか、
そういう教育を誰もしなくなってしまった。
学校もしない、親もしない、社会もしない。
だから、日本という国がおかしくなってしまっている。
MBAだとかマーケティングとか、それも大事。
でも、その前に、もっと大切な生き方、志、そういうものを
伝えていかなければならない。
そして古川さんは僕に、
「塾をやりなさい!」。
そう断言されたのです。
それは僕が漠然と思っていたこととまったく同じでした。
そして、その一言がきっかけで、
僕は「人間塾」という勉強会をスタートすることを決意できたのです。
古川さんが僕の背中をドン!と押してくれたのです。
もっとも、その次にお会いしたときに、
古川さんはその日のことをあまり覚えていらっしゃらなかったようですが……。

もしかしたら、僕は古川さんのお世辞をただ真に受けてしまったのかもれません。
しかし、それでもいい。
古川さんが僕に大きなきっかけを作ってくれたのには変わりないからです。
メンターが道を示してくれたのです。

◎メンターを持つと人を許すことができるようになる。

メンターを持つ1つ目のメリットは、師から教えを受けたり、
生き方や仕事の具体的なヒントをもらえるということです。
そして、2つ目のメリットは、応援してかわいがってもらうことで、
心にゆとりや安心感を得られること。

自分が尊敬している人から励まされたり応援されると、
ものすごく心強く、勇気がわいてくるわけです。
そして最後の3つ目は、「人を受け入れることができる」ようになる
という副次効果がある。
もしかしたらこの副次効果が、
メンバーを持つ一番のメリットなのかもしれません。
人として決して完壁ではないメンターを受け入れられるようになったとき、
人はメンターその人だけでなく、
自分の上司や部下や同僚なども許し、受け入れられるようになるのです。
そして、自分自身も許せるようになる。
決して完壁ではない存在の自分も、そして相手をも許せるようになる。
すると、心が楽になり、人間関係がうまくいくように変わっていくのです。

反対に、自分を許せない人は相手も許せない。
だから相手のイヤな面やダメな面ばかりを見る。
当然、人間関係はうまくいかないし、何でうまくいかないんだ、と自分を責める。
そんなよくないループの繰り返し。昔の僕がまさにそうでした。

だから「メンターを持てない」という人は、
一度つまらないこだわりや完壁主義を捨てて、
人を受け入れることから始めてみていただきたいと思うのです。

富士山は近くから見ると美しくないように、
あなたのメンター候補は、その存在が近すぎて、
美しさが見えていないだけかもしれません。
自分にぴったりのメンターは、案外、身近にいるのかもしれませんよ。

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