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11月21日配信 小倉広メルマガvol.295 「“まずは部下に話させる”と伝わる」



vol.295「“まずは部下に話させる”と伝わる」
出典:なぜ、上司の話の7割は伝わらないのか


多くの上司は部下に話を伝えたいと思うと、真っ先にその話を部下にします。
そして、「どうも部下に話が伝わっていないようだ」と感じると、
さらに重ねて話し続けます。
ですから、いつまでたっても上司の話は部下に伝わらないのです。
上司が部下に話を伝えたいのであれば、まずは部下に話をさせること。

部下に話をさせ、部下から不平不満や疑問を引き出し、
その解決策を示してから、上司は自分の話を伝えます。
この順番が非常に大切なのです。

◎お腹を空っぽにする

人はお腹がいっぱいの時は何も食べられません。
もしそこで口の中にパンを詰め込まれたら、
「食べたくないよ」と吐き出そうとします。
「部下に話が伝わらない」と嘆く上司は、
部下にこれと同じことをしているのです。

部下に話が伝わらないと、上司はもっと話そう、もっと話そうとします。
つまり、お腹がいっぱいの部下の口の中に
上司がぐいぐいとパンを詰め込むのです。もちろん部下は食べません。
すると上司は「なぜ食べないのだ?」と尋ね、さらに口の中にパンを詰め込む。
これが、話が伝わらない上司の典型的なパターンです。

部下に話を伝えたいのであれば、まずは部下のお腹をすかせることです。
部下のお腹をすかせるためには、
上司が部下のお腹の中に詰まっているものを引き出さなければなりません。
では、部下のお腹の中にはいったい何が詰まっているのでしょうか?
それは「黒い石」です。

黒い石とは、会社や上司に対する不平不満や不信感、疑問、
もしくは自分自身の頑ななこだわり、などです。
部下のお腹の中には、これらの黒い石がぎっしりと詰まっているので、
全くスペースがありません。
それなのに上司は、さらにそこに詰め込もうとします。
それでは「伝わる」わけがない。

そうではなく、上司はまず、部下のお腹の中にある黒い石を取り除き、
部下のお腹を空っぽにすること。
そうしなければ上司の話は全く部下に入らないのです。
部下のお腹を空っぽにするには、部下に話をさせることです。
そこで私は、話の「最後」ではなく「最初」に質疑応答をすることに
しています。たとえば私が、今月の部署の方針を部下に伝えるとしましょう。
会議室に集まった皆を見渡して、
私は「どう、最近?」
「これから今までと違う新しい方針について話そうと思うのだけど、
これまでやってみて、皆どんな気持ち?」
「わからないことはある?」と聞きます。

このように「最初」に質疑応答をすれば、部下からさまざまな不平不満や意見、
疑問などが出てきます。部下にそれらを吐き出させることで、
部下のお腹の中にはどんどん隙間ができていくのです。
そこで初めて「実は新しい方針というのはね……」と自分の伝えたい話をする。
すると、できた隙間に伝えたいことがスッと入っていきます。

多くの上司は質疑応答を最後にし、「では今月の方針ですが……」と
いきなり部下の口の中にパンを詰め込もうとします。
そして、パンを詰め込んだ後に「何かある?」と質疑応答をします。
これでは部下には何の話も入らず、しかも部下からは何の質問も出てきません。

ですから、上司が部下に話を伝えたいのであれば、
自分の伝えたいことをいきなり部下に話すのではなく、
まずは最初に部下に話をさせること。
これをぜひやってもらいたいと思います。

◎聞きっぱなしにしない

そこで、上司が「よし、まずは部下の話を聞くことにしよう」と
決心したとします。
早速、上司は部下に質問し、
「そうか、そういう問題があるのか。なるほどね」と部下の話に
あいづちを打ちます。そして「ところで、新しいうちの方針だけどね……」と
自分の話を続けたとしたら。これではせっかくの質問も台無しです。
部下は「なんだ、上司は全然話を聞いていないじゃないか」
「聞くだけ聞いて、何も解決していないじゃないか」と失望するでしょう。
上司が部下の話を聞き、部下のお腹の中から黒い石を取り出したらそれで終わり
ではありません。
上司がその黒い石をトラブルシューティングしないと、
黒い石はまた部下のお腹の中に戻ってしまうのです。

しかし、部下の黒い石はすぐに解決できないものばかりだと思います。
そういう場合、少なくとも上司は、「すぐには解決できないけれど、
まずこれだけは手を打つよ」と、何かしらの着手を示すことが大切です。
もしくは「すぐに解決はできなくても、近い将来には解決していくよ」と、
しっかり言葉で表すことが重要です。

そうやって上司が何らかの解決の一歩を見せないと、
部下は次のステップに進むことができません。
上司が部下から取り出した黒い石に手を打ち、その後に、
部下に自分の伝えたいことを話すと、上司の話を聞き入れる余裕、
スペースが部下には生まれるのです。

◎紐づけて話す

上司が部下に話を伝えたいならば、まず部下の話を聞き、
部下から出てきた不平不満や意見、疑問に対し
トラブルシューティングをすること、と言いました。
これは上司の話を受け入れるスペースを部下の中に作る意味でお話ししました。
しかし、それ以外にもう1つ、部下の話を聞くと、それが部下の情熱や
やる気を引き出す強力な働きがあるのです。

たとえば、部署の新しい方針をあなたが部下に伝える、としましょう。
あなたは先ほど学んだように、まず部下の話を聞くことから始めます。
会議室に皆を集めて「どう、最近? 今までのやり方で気になることはある?」と。
すると、皆はいろいろな黒い石を吐き出します。
「今の目標数値が厳しくて……」
「これをやって本当に達成できるんでしょうか?」
「お客様から最近、こんなことを言われまして……」
「チーム内でこんな問題が起きているんです」
「僕はこう思っているのですが、どうでしょうか?」と、
さまざまな不平不満や意見、疑問が出てきます。その時、上司は、
出てきた黒い石から部下のさまざまな情報を得ることができます。

たとえば、「A君はお客様にもっと貢献したい、と考えているんだな」とか
「Bさんは、もっと違う方法でやりたいと思っているんだな」などです。
そこで上司が話をする時は、
インプットした部下の情報に紐づけて話をするのです。
「A君、今度の方針はお客様の要望に応えるものだ。だから、きっと
お客様に喜んでもらえると思うよ」とか
「Bさん、会社の新しい方針はBさんがやりたかった方法とかなり近い内容だよ」と。
こんなふうに上司が部下の疑問や要望に紐づけて話すと、
部下は「自分の意見が通った」「自分のことをわかってくれた」と感じます。

そして、「では、これからも頑張ってみよう」と部下のやる気や情熱が
引き出される。これが「紐づけて話す」というスキルです。

上司がまず部下に話をさせ部下の黒い石を引き出すと、
部下の中に上司の話を受け入れるスペースができます。
そしてそれだけでなく、上司が引き出した部下の黒い石に紐づけて話すことで、
部下の情熱ややる気をさらに引き出すことができるのです。

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