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9月26日配信 小倉広メルマガvol.287 「任せてもらう」のではない、「奪う」ものなんだ。



vol.287「任せてもらう」のではない、「奪う」ものなんだ。
出典:任せてもらう技術

◎「課長、手伝えることはありませんか」

リクルートの企画室にいたころの話だ。
ちょうど、企画室の仕事量が飛躍的に増えていた時期だった。
僕たちの上司である課長は特に多忙を極めており、
ほとんど自分の席にいる暇がないようだった。

そんなとき、上司に自分から声をかけたのが加藤君(仮名)だった。
「課長、大変そうですね。僕に手伝えることはありませんか。何でもやりますよ」
すると課長は「じゃあ、課の定例会議の準備と進行をやってくれるか? 助かるよ」
といって、その役目を加藤君に任せた。

今月の議題を決め、会議室を手配し、事前に必要な資料を揃える仕事。
そんなものは、僕から見れば地味な裏方作業に過ぎず、
できれば関わりたくなかった。
だから2人のやりとりを見て、
「課長が誰かに押しつける前に、加藤君が引き受けてくれてよかった……」と、
ホッと胸をなでおろしたのだった。

◎選り好みせず、取りに行け

ところが、定例会議を加藤君が仕切るようになると、とある変化が生じた。
課長と加藤君との距離が、ぐんぐん近づいていったのだ。
僕は定例会議を形式的なものだと軽んじていたが、
実際は課の大きな方向性を決める大事な場という側面もあった。
その準備と進行をつとめるには、日ごろから上司との間で
密にコミュニケーションをとって、課の現状や将来について
情報を共有する必要がある。

そのうちに「このプロジェクトをやるか、やらないか」
「このプロジェクトのメンバーは誰にするか」といった重要な話が、
まず課長と加藤君の間で進むようになっていったのだ。

このとき、僕はたしかにプロジェクトリーダーを任されていた。
けれど気づけば、加藤君のほうが上の立場にいると感じるようになっていた。
僕は焦った。
「自分は仕事ができる」という自信があったから、
そういう重要な役目や大きな仕事は、いずれ課長が僕に任せてくれるものだと
思い込んでいたからだ。

だが実際に任されたのは、「手伝えることはありませんか」
というひとことを自ら発した、加藤君だったのだ。

このときにわかったのは、
仕事とは任されるものではなく、奪うものだということだ。
奪うといっても、「課長、僕にこの仕事を任せてください!」と、
勢いよく直訴するという意味ではない。重要なのは、加藤君のように、
「どんな仕事でもやりますよ」という姿勢を見せることだ。

自分がやりたいと思える仕事や大きな仕事なら、
自分から取りに行こうとする人も多いだろう。
だが、本当に大事なのは、目立つ仕事や派手な仕事だけではなく、
他人が敬遠するような地味な仕事や面倒な仕事でも、進んで取りに行くことだ。

そして不思議なもので、選り好みせずに仕事を取りに行き、
そこで成果を出せば、自然と目立つ仕事や派手な仕事もまわってくるようになる。
どんな仕事でも嫌がらずにやってくれるとわかれば、
上司もどんどんチャンスを与えようという気持ちになるからだ。

反対に、僕のようにおいしいところだけもらおうと思って、
口を開けて待っている人には、そんな機会は訪れない。

どうかな? 今のキミは、当時の僕と同じ勘違いをしていないだろうか?

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