作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

9月12日配信 小倉広メルマガvol.285 他人に人生を支配させるな



vol.285「他人に人生を支配させるな」
出典:折れない自分のつくり方

◎初めてのリーダー経験と挫折

相手軸を脱せよ。自分軸を持て。言うのは簡単だが現実的には葛藤の連続だ。
しかし、人生を他人に支配されないためにも、
自分軸を自分の中に打ち立てていかなければならない。
その大切さを知っていただくために、ここでは、プレッシャーの大きさに負けて、
リーダーの職を投げ出してしまった私自身の失敗談をご紹介しよう。

私は新卒でリクルートに入社した。
営業から編集、企画へと移り、29歳でコンサルティング部門の課長になった。
人生で初めてリーダーを任されたのだ。

だが私は、リーダーの役割がまったくわかっていなかった。勉強もしなかった。
プレーヤーとしては優秀な部類の成績を残し、意気揚々と課長になったものの、
チームをまとめることができなかった。
部下に対しては自分と同じようにやらせればうまくいくだろう、
くらいしか考えていなかった。それがそもそもの間違いだった。

新任のリーダーは、通常最も優秀なプレーヤーが任命される。
だから、部下がリーダーと同じようにできるはずがない。もしそれができたら、
全員がリーダーになれるからだ。私はそれを理解していなかった。
そのために、自分と同じやり方をメンバーに求めた。できなければ強要し、
無理にでも変えようとした。だが、それがまったくうまくいかない。
メンバーを苦しめるだけ苦しめて、
成功に向かわせることができなかったのである。

そのうちにメンバーが私からどんどん離れていくのがわかった。
その孤独感は30歳前の私には絶望的だった。
耐えきれないと感じた私は、今度はメンバーを甘やかし始めた。
うるさく言うのはやめにして、楽しくやろうとした。
それがチームのためにもいいのだと言い訳をしながら。
だがもう、そのときには私の中で崩壊が始まっていた。
私はメンバーの顔色が気になってしかたがなかった。

他人の評判に一喜一憂し、うわさ話に敏感になっていた。
笑い声が聞こえてくると、自分が笑われている感じがした。
妄想的な思考から次第に抜け出せなくなっていった。
私は今よりも、もっともっとがんばらなければならないと思った。
人からうわさされないように、笑われないように、馬鹿にされないように、
嫌われないように……。

すべて他人軸だった。
自分ではコントロールできない他人の感情に、完全に支配されていた。
半年後、私はうつ病を患い、心療内科の門を叩いた。
そして、上司に嘆願していた。自分にはリーダーはできません、と。
このようにして、私の初めての管理職経験は挫折のうちにあっけなく終わりを
告げることとなったのだ。

◎批判されるのが怖かった

当時の私は、リーダー初心者であるにもかかわらず、
プレーヤーとして高く評価されていたために、自分が優秀だと勘違いをしていた。
リーダーになってもうまくやれて当然という思いがあったのである。
ところが何一つ自分の思うとおりに進まずに私は焦った。
そして、思いどおりにならないメンバーの顔色を気にし、
周囲の声に翻弄されていった。私の努力は、すベてそのためでしかなかった。

つまり私は、私を批判する人やうわさする人を、なんとかがんばって
変えようとしていたのだ。軸を相手に預けて揺れていたのだ。

今ならそれが間違いであることがわかる。リーダーは批判を気にしてはいけない。
批判されないためにがんばってはいけない。
そんなことをすれば、他人からの評価に支配されてしまうからだ。
評価が変われば右に揺れ、左に揺れる。永遠に揺れ続ける。

メンバーに対する態度や言動も一貫性がなくなる。朝令暮改。その場しのぎ。
メンバーからの信頼は失墜し、誰からも支持を受けなくなるのは
目に見えている。
今、あの頃に戻れるならば、私は私にこう助言するだろう。

他人軸に踊らされるのはもうやめよう。
自分の信念だけを見て行動し続けよう。
うまくいったかどうか、は自分で決める。相手に判断を委ねてはならない、と。
自分軸があれば、うわさなど気にならないだろう。
批判されてもやり過せるはずだ。

そして、結果がうまくいかなくても胸を張っていられる。
私は自分軸をつくることにこそ全力を傾けるべきだったのである。

◎本当に豊かな生き方とは

他人に軸を預けている限り、私たちは人生においても幸せになれない。
なぜならば、幸せかどうかの判断を他人に委ねているからだ。
人に評価されて幸せを感じ、人に批判されたら不幸せと嘆く。
それは、メンバーの顔色や周りの声に一喜一憂していたかつての私そのものだ。
自分が幸せかどうかは他人が決めることではない。
その基準を他人の物差しで測ってはいけない。幸せかどうかは自分が判断する。

OKは人からもらうのではなく、自分でジャッジする。
他人軸から自分軸へ、大事な軸を取り戻すのだ。
それは自分の人生を我が手に取り戻すことでもある。
リーダーとして、人として、私はそういう人生を送りたいと思う。
他人の人生ではない。それは自分の人生なのだから。

Top