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8月22日配信 小倉広メルマガvol.282 “あいまいにせず具体的にする”と伝わる。



vol.282「“あいまいにせず具体的にする”と伝わる。」
出典:なぜ、上司の話の7割は伝わらないのか

仕事の大まかな枠組みが決まったら、多くの上司は「後は任せるよ」と
部下に仕事を振ります。しかし、部下は細かいことがあいまいなままだと
不安を感じます。
ですから上司は、部下と共に細かいことを具体的に決めていくか、
もしくは何を具体的に決めていけばよいのか、
道筋を部下に示した上で決定を委ねましょう。
上司が細かい部分を部下と共に決めていくと、部下は安心して仕事に取り組め、
そして成果を出すことができるのです。

◎ディテールを決める質問

質問には2種類あると言われます。
一つは大まかなことを決める質問です。そしてもう一つは細かいこと、
つまりディテールを決める質問です。5WIHでいうと、前者は
「Why」と「What」で、「なぜやるの?」「何をするの?」です。
後者は「When」「Where」「Who」「How」で、「いつ」「どこで」「誰が」
「どうやって」です。
たとえば、ある会社が新商品を作り、それを売っていくことになったとしましょう。
そこで上司は最初に、何を作ったのか、それはなぜ作られたのかという
大まかなことを部下に説明します。
そして次に、それを、いつ、どこで、誰が、どのようにして売っていくのか。
ディテールを具体的に部下と共に決めていきます。
できればディテールは上司が1人で決めてしまわずに、部下と共に決める。
もしくは、部下に任せて決めさせたほうがいいでしょう。部下のやる気を高め、
コミットメントを引き出すためにはそのほうが有効だからです。
その際には「何を決めるのか」、つまり大筋である「What」は上司が決めること。
そして、細部は部下に任せることです。
たとえば、「担当者」と「最終納期」と「中間報告会の日程」を決めてほしい
のであれば、それを事前に明示したほうがいいでしょう。
大筋を示さず部下に丸投げをしてはいけないし、上司がディテールまで1人で
すべて決めてしまってもいけません。
「何を決めるのか」の「What」だけを明確に示すのです。

◎「来週中」ではなく、「火曜日の午後2時までに」と決めさせる

ディテールを詰める時は、あいまいにせず具体的に決めることが大切です。
仕事の期日を決める時に私たちがよくやってしまう間違いが、
「来週中に」などとあいまいにディテールを決めてしまうことです。
来週中とは営業時間の金曜日を指すのか? 土曜、日曜日なのか?
  はたまた月曜日の始業時間までを指すのか? それによって、後工程の人の
スケジュールが変わってきます。それをあいまいに「来週中に」と決めることは
危険なのです。
しかし、それを決めるためには、事前に関係各所に調整や確認が必要です。
だからこそ、部下たちはあいまいにすませようとする。
作業が間に合わなかったときの自らの逃げ場を作っておいたり、
確認作業を増やさないようにするために、あえてあいまいにしてしまうのです。
けれど、それをそのまま認めてしまえば、苦労するのは部下のほうです。
何度も手戻りがあったり、無駄な待機時間が発生したり。
それが上司には見え見えだからこそ、「ディテールをあいまいにせず
きちんと決めろよ」と言うのです。しかし、部下にはそれがわかりません。
だから、生返事で「わかりました!」と言っておきながら、
ディテールを決めずに「来週中ね!」などと適当にお茶を濁してしまうのです。
その失敗を部下にさせないためにも、上司は「ディテール」を決める際に、
「何を決めるのか」といった「What」は明確に示しておくべきなのです。

たとえば、期日を決めてほしいと思った時には「曜日と時刻まで決めてね」
などと「決めてほしいこと」を決めるのです。
それでも心配な時は、「決めてほしいことを決める」ために必要な行動や準備を
明らかにしてもいいでしょう。たとえば、「スケジュールを決めるには、
事前に印刷会社さんの空き状況を調べなくてはいけないよね」とか
「上司の決裁を取るために部長会議の日程を経営企画室に聞いておいたほうが
いいな」などと、「ディテールを決めるために必要な準備行動」を決めて
伝えておくのです。
ただし、上司が口出しをするのはそこまでが限度です。それ以上立ち入って
「来週の木曜日には仕上げたほうがいいぞ」などと「答え」まで口に出しては
いけません。それでは、一番大切な部下の主体性ややる気を上司が奪って
しまうことになるからです。
「ディテール」そのものは部下に決めさせる。
上司が決めるのは、あくまでも「何を決めるべきか?」
「何を事前に調べておくべきか?」といった大筋の「What」であると私は
思っています。

◎事実と伝聞、決定と未決を明確に区分する

組織の中で立場が上になっていくと、会社に関するさまざまな情報が耳に入る
ようになります。上司が部下にそれらの情報を伝える時は、
それが事実情報なのか伝聞情報なのか、決定事項なのか未定事項なのかを
はっきりさせてから伝えなければなりません。あいまいなままに上司が部下に
情報を伝えてしまうと、噂話が流れたり、部下が混乱したり、
人を悲しませたりするからです。
また、社内の情報には部外秘や社外秘のものも多くあるでしょう。その場合も
「これは社外秘だからな」と、上司が部下に明確に伝えなければなりません。
上司がはっきりと部下に伝えておかないと、ときには経営に悪影響を
与えてしまうのです。
たとえば今度新商品が出るので、人気テレビ番組のスポンサーとなり、
テレビCMを大々的に展開しようという話が社内で出たとしましょう。
それが未確定なうちに上司が部下に伝えてしまい、さらに社外秘であることも
伝えなかったら。その話が外部に漏れて、たとえば競合他社が同じテレビ番組の
スポンサーに名乗りを上げ、値段がつり上がるかもしれません。
もしくは、競合他社との争いに敗れて、結局スポンサーになれないかも
しれません。
その時に上司が「誰が話したんだ!」と詮索したり、「何で話したんだ!」
と部下に怒るのはお門違いです。上司は部下に、「テレビCMを大々的に展開する
ことになったら我が部署も忙しくなると思う。しかしこれは未定事項だから、
社外秘だぞ」と、伝えておかなければならないのです。
上司が野次馬根性を発揮して、部下と一緒になって「今度、あの人気番組の
スポンサーになるらしいぞ」と盛り上がるのではなく、リーダーの自覚を持ち、
事実と伝聞、決定と未定、社外秘か否かを明確に区分して部下に伝えましょう。
上司の何気ない一言が大きな波紋を呼ぶということを、
上司は忘れずにいたいものです。

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