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7月8日配信 小倉広メルマガvol.275「赤字確定から一転黒字へ。労働組合からの驚くべき提案とは」



vol.275「赤字確定から一転黒字へ。労働組合からの驚くべき提案とは」

名古屋ターミナルホテルアソシアは、着実に生まれ変わっていた。
ホテル業界の常識では考えられないことが次々と起きていた。
業界では稼働率が80%を超えていれば経営状態がいいホテルと考えられる。
しかし、現場による機転を利かせた運営と高いモチベーションで2005年には94.1%を達成。
さらには、従業員からの提案が次々と実現され、ついに4期連続赤字から黒字に生まれ変わるか、
という時がやってきた。2001年のことだ。

しかし、何度計算しても黒字転換はできない。今期は無理だ。来期には必ずできるだろう。
柴田さんはそのことを労使会議で正直に報告した。
すると、労働組合委員長が思いもかけない提案をしてきたのだ。そして、その期に黒字転換が実現された。
全従業員による思いが、ついに黒字転換を実現したのだ。

では、労使委員長はどのような提案をしたのだろうか?

A:不正会計、粉飾決算ギリギリのグレーな決算処理を提案した

B:社長、役員、総支配人など経営トップの経営責任を問い、給与ゼロを提案した

C:全従業員に自腹でホテルに宿泊し、自腹で商品を購入させることを提案した

D:全従業員の給与引き下げを提案した

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正解は・・・・・・。

D:全従業員の給与引き下げを提案した

であった。

労使交渉の場で、労働組合委員長が「賃上げ要求」をするのならばわかる。
だがどこの世界に「賃下げ要求」をする組合があるものか。
柴田さんは、そんなことはできない、と首を振った。
すると委員長は、いや、どうしても下げてほしい、という。いや、できない。
いったい、どちらが経営側なのかわからない押し問答が続いた。

そして、どうしても、という組合の提案を受け容れ、
10%の賃下げを2年の間に5%ずつ賃上げして返すことを条件に認めたのだ。

そして、みごとに同ホテルは800万円の黒字を達成した。
柴田さんは思った。
「これで、このホテルは必ずいい方向にいく。労使のベクトルが本当に一致している。
これでうまくいかないはずがない」

柴田さんの言葉通り、同ホテルはそれから8期連続の黒字を実現していくこととなったのだ。

「日本でいちばん幸せな社員をつくる!」柴田秋雄著 ソフトバンククリエイティブより

このエピソードを読んで、私は思った。

「従業員に経営者感覚を持ってほしい」という経営者は多い。かつての私もそうであった。
では、経営者は従業員を経営者として遇しているだろうか?
経営者として遇する、とは給与だけではない。経営者として、経営に参画させ、
経営者としてアイディア、意見を出してもらい、経営者として決定、決裁の権限を与える。
そして、何よりも、経営者として対等に相手をリスペクトする。それができているであろうか?

多くの会社ではそうではない。
「経営者意識を持て」といいながら、経営者とはかけ離れた安い賃金しか払わず、
経営参画もさせず、意見を却下し、権限を与えない。
そして何より、相手をリスペクトせずに子ども扱いしてしまう。かつての私もそうであった。
それで「経営者意識を持て」という。
それは、あたかも金も払わずに商品を寄越せ、と要求するようなものではないか。

名古屋ターミナルホテルアソシエで起きた「賃下げ要求」という奇跡は、それ単体でも見ても
「なぜそのようなことが起きたのか」はわからない。
そうではなく、そこに至るまでのプロセスを見なければならない。

柴田さんは、従業員からの提案にNOと言わない。
たとえ、それが稚拙に感じられても、彼らの思いを大切にしてきた。
従業員が現代風なポップな社歌を作ってきた。同社には既に重厚な社歌がある。
しかし、柴田さんはそれを却下などしない。いいじゃないか。
そして、彼らに内緒で知り合いの音楽関係者に頼んで
スタジオ録音でCD制作をサプライズプレゼントしたのだ。

彼らが提案してきた季節のドリンクや、スイーツに次々とOKを出し、
それが「名古屋駅名物」となっていった。
やがてそれは「愛知のふるさと食品コンテスト」で最優秀賞に選ばれた。
これで従業員のやる気が出ないわけがない。

「経営者意識を持て」と叫ぶだけで、自らは何もしない経営者に比べてどうだろう。
私は、自らを恥じる思いでいっぱいになった・・・・・・。

このような素晴らしいエピソードの数々を柴田さんが直接披露して下さる講演会がある。
ドキュメンタリー映画の上映会がある。
私、小倉広との対談、そして、柴田さんもご参加いただける懇親会もある。
7月30日(土)午後。
ぜひ、この二度とない体験をしに東京駅から近い日比谷の会場へお運びいただきたい。

●「日本一幸せな従業員をつくる」ホテルアソシア名古屋・元総支配人 柴田秋雄氏
講演+小倉広との対談+ドキュメンタリー映画上映会+懇親会
7月30日(土)12:00開場 12:30〜16:30 日比谷図書文化館B1大ホール
http://everevo.com/event/29829
私が主宰する生き方、人生を学ぶ一般社団法人 人間塾の特別イベント。詳細、お申し込みはこちらへ。

●柴田氏TED講演(18分)
https://youtu.be/-WkdFZ1WV3M
●「日本一幸せな従業員をつくる」映画予告動画
https://www.youtube.com/watch?v=xUdyhQsodNE

では、会場でお目にかかることを楽しみにしています!

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