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2月8日配信 一偶を照らす vol.15『この人に、ついていこう……』



「この人に、ついていこう……」

会社員時代に、私は何度か強く思ったことがある。

ある上司は、言葉では伝えてくれなかったものの、私を常に信頼してくれた。
肩書きのない、イチ平社員だった私に、ことあるごとに相談をしてくれ、管理
職にしか伝えてはいけないような機密情報までも教えてくれた。

会社にとって重要な顧客の担当者として私を指名し、上司自身の悩みや迷いを
私に漏らしてくれた。私は思った。上司は私をとても大切にしてくれていると。
私はこの上司から必要とされている。そう強く感じた。そして決めた。この人
の信頼に応えよう。それからの私は寝食を忘れて仕事に没頭していった。今か
ら15年以上前、私がまだ30代の頃のことである。

初めての転職をし、管理職になったときも、同じ気持ちを感じたことがある。
その日、私は夜中からの高熱にうなされていた。体温を測ると40度以上も熱が
ある。転職をして間もない頃。連日の激務と慣れない環境に体が悲鳴を上げた
のだろう。私は、上司に電話をして初めての病欠を願い出た。

せっかく休みをもらったのだから少しでも長く眠り体を休めよう。そう思った
が寝付けない。しかし、全身はだるく横になっていても少しも休まる気がしな
かった。私は何とか眠りにつこうと焦っていた。
すると。

ピンポーン。マンションのインターフォンが鳴った。宅配便だろうか。こっち
はこんなにしんどいのに。仕方ない。出るか。ガチャ。私はマンションのドア
を開けた。

なんと。
私の目の前には、私の上司がいるではないか? 一瞬何が起きたのかわ
からずに戸惑う私。すると、上司は私に薬屋さんの袋を渡すと、こう言った。

「小倉さん。早く元気になって下さい。解熱剤と高いユンケルを買ってきまし
た。小倉さんがいてくれないとみんなが困ります。早く良くなって下さい」

そういうと風のように去って行ったのだ。私は、涙が出そうになった。私ごと
きをこれほど大切にしてくれる。私を必要としてくれている。そして、思った。

「この人に、ついていこう……」

集団を一定の方向へ導く影響力。それがリーダーシップの定義だ。では、どの
ような「影響力」で人を動かせばいいのだろうか?

いちばんレベルが低いリーダーシップは「脅迫」のリーダーシップだ。上司の
命令というポジションパワーを用いて部下に指示命令や脅迫をして無理矢理部
下を動かそうとする。「やらなければクビだ!」「やらなければ評価を落とす
ぞ!」卑劣な脅迫で部下を動かす。これが最もレベルが低い影響力だ。私はこ
れをリーダーシップと呼ぶことはできない。卑劣な手段だ。

そして、それとは逆に本質的なリーダーシップがある。それこそが「信頼の
リーダーシップ」だ。上司が部下を信頼し、部下を大切にし、部下を必要と思
う。その思いが部下に伝わり、部下の心が動く。そして、上司のために自ら進
んで頑張ろうと思う。これが本来のリーダーシップの姿ではなかろうか。

社会心理学者のEPホランダーが提唱したリーダーシップ理論。信頼蓄積理論や
現在のリーダーシップ論の主流となっている状況適応論など。リーダーシップ
に関する基本原則をお伝えする講座を開講する。

小倉広「次世代リーダー塾」(東京・大阪・名古屋)第2回の演目は
「信頼蓄積理論に基づくリーダーシップ概論」だ。
・東京 :3月6日(水)19:00~(飯田橋がいあもーれ)
・大阪 :3月16日(土)10:00~(堺筋本町大阪産業創造館)
・名古屋:3月2日(土)10:00~(名古屋駅ワンネスコンサルティング)
https://i-magazine.jp/bm/p/aa/fw.php?i=ogurahiroshi&c=14&n=7

これまでたくさんの大手企業で講演させていただいてきた、いわば私の十八番。
昨年末も50名ほどの経営者の皆さんに本テーマでご講演申し上げたところ、
すぐに参加者の社長様から「我が社の管理職にぜひ聞かせたい」と講演のお申
し込みをいただいた人気の講座だ。

これまで私が経験してきた素晴らしい上司の方々との思い出や、逆に私自身が
部下を持ってからうまくやれずに大失敗をしてきた苦い思い出などを交えて、
リーダーシップの神髄をわかりやすく皆さんにお伝えしたいと思う。

リーダーシップとは肩書きに関わらず、人に影響を及ぼす働きだ。管理職では
なく若手社員が。ときにはアルバイトさんやパートさんがリーダーシップを発
揮している組織が世の中にはたくさんある。現在の役職や年齢に関わらず、ど
なたにもお聞きいただきたい講座だ。ぜひ会場で皆さんとお会いしたいと思う。

株式会社小倉広事務所 代表取締役 小倉広

【 編集後記 】
私が知っている、リーダーシップのある人は、タイプでいえば千差万別。
カリスマ型の強いリーダーシップからオタクタイプの静かなリーダーシップま
で。しかし、一つだけ彼らに共通点があるように思います。

それは……
「人を喜ばせるのが大好きだ」ということです。

サプライズで陽気に人を喜ばせたり、「あのぉ、これ……」と口数少なく、
私のために本を貸して下さったり。スタイルは様々であるものの、相手を思
い、何かを差し出すことを心の底から楽しんでいる。それが、私の知ってい
るリーダーシップある人に共通する特徴であるように思います。

貪るのではなく与える人。喜ぶのではなく喜ばせる人。自分ではなく相手を
大切にする人。そんな人に人はついていく。「この人に、ついていこう……」
そう思うのではないでしょうか。

では、皆さん、良い週末をお過ごし下さい。来週もお楽しみに!

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