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2月1日配信 一偶を照らす vol.12『代表的日本人はなぜあの5人になったのか?』



代表的日本人

記念すべき1周年の節目にあたる小倉広「人間塾」。私が第12回の課題図書に
選んだのは「代表的日本人」内村鑑三著(岩波文庫)だった。
https://i-magazine.jp/bm/p/aa/fw.php?i=ogurahiroshi&c=7&n=1187

毎月土曜日に、東京、関西、名古屋で開催されてきた人間塾、全11回の学び
の総集編的位置づけ。それが私の狙いだ。1908年(明治41年)内村鑑三が英
語で記した本書は日本の素晴らしさを西欧に伝えるために書かれた。そこで紹
介されている「代表的日本人」5人とは以下の人々である。

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮・・・

上記5人のうち、西郷隆盛と二宮尊徳はそれぞれ「南洲翁遺訓」と「二宮翁夜
話」を課題図書に選び、塾生の皆さんと共に学んだ。そんなこともあり、私が
人間塾第1期目の総集編と位置づけたのだ。

その日、私がディスカッションのテーマとして出題したのは以下の二つだ。

(1)内村鑑三氏が海外に伝えたかった「わが国民の持つ長所」とは何か?

(2)登場する5人の中から(1)の基準に基づき、代表的日本人の中の代表
   1人を選んで下さい。

上記テーマの2つとも、もちろん「正解」はない。答えそのものにも、あまり
意味はない。あくまでもディスカッションにより理解を深めるためのきっかけ。
それがテーマの位置づけだ。私たち塾生は真剣に語り合った。

まず最初に、私を含めた多くの塾生が着目したのは中江藤樹、西郷隆盛に代表
される「仁徳」である。それは「道徳」「謙譲」「孝」「誠」などと言い換え
ることもできるだろう。

文中にこのようなエピソードが紹介されている。
明治維新の立役者であり、今も多くの経営者から尊敬を集める西郷隆盛は晩餐
会から家に帰るときに、自分の履いてきた下駄がどうしても見つからなかった。
西郷は下足番に世話をかけるのを嫌い、裸足で一人歩いて帰ろうとした。

粗末な木綿の着物に裸足で歩く男を門番が見つけ怪しみ、行く手を阻んだ。そ
して、西郷が身分を明かしても信じてくれなかった。西郷はたまたま通りかか
った岩倉具視の馬車に乗せられてようやく門を通過することができたのだ。

また、西郷は友人の家を訪ねる際にも相手に手間をかけないように心を配って
いたという。なんと西郷は、友人を訪問した際も、声をかけて相手を呼び出さ
ず、偶然に家人が通りかかるまでいつまでも家の前をぶらついていた、という
のである。相手を思いやる仁愛の心にあふれた西郷らしいエピソードだと私は
深くうなった。振り返って自分はどうであろうか。私は大変恥ずかしくなった。

しかし、一方で「代表的日本人」には、日蓮のように、(同書の中においては)
「仁徳」があまりクローズアップされていない人も選ばれている。では、内村
鑑三が西欧に伝えたかった日本人の長所とは「仁徳」だけではないのではなか
ろうか。私たちはさらに議論を深めていった。

そして、たどりついたのが同書のまえがきやあとがきに書かれているいくつか
の言葉から読み解いたもう一つのキーワードであった。それは「自助独立」
「志」「信念」「変革」である。周囲の反対を押し切り、自らが信じる思いや
志を貫き、変革を成し遂げていく。強靱な意思と行動力。それこそが五人に共
通するもう一つのキーワードではなかろうか。そう結論づけたのだ。

私は塾長総評として、サッカー日本代表のザッケローニ氏を例に取って解説を
した。

ザッケローニ氏はサッカー先進国であるイタリアのセリエAにおいて多くの実
績、経験を積んだ名監督である。そんな彼にとってサッカー後進国である日本
を指導する際に言いたいことは山ほどあったろう。

しかし、彼は頭ごなしに上から目線で指導をしなかった。明確なポリシーと戦
術を伝えたものの、選手をリスペクトし、相手を大人として遇した。そして、
これまでの日本のやり方を否定せず、良さを継承しつつ自己流を少しずつ加え
ていった。その一連の流れが、内村鑑三が伝えたかった二つのキーワードと重
なって見えたのだ。

つまり、ザッケローニ氏は「道徳」「謙譲」「孝」「誠」的に相手を受け容れ
大切にするところから始めた。そして、少しずつ、選手やファンから信頼を集
めていったのだ。

そして、ある程度信頼を集めたところで「自助独立」「志」「信念」「変革」
を進めていった。こんな風に論じたのだ。

代表的日本人に描かれた5人の偉人たちは、それぞれにザッケローニ監督と同
じステップをたどっていったのではなかろうか。仁徳にあふれ敬天愛人を標榜
した西郷隆盛は、多くの人心をつかんでいた。それは信頼という言葉に置き換
えてもいいだろう。

そして、そこで集めた信頼をもとに廃藩置県の断行などの明治維新を進めた。
上杉鷹山は、藩の財政改革を進める前に、自らの生活を考えられないほどの質
素なものに改めてから改革を進めた。それもまた、仁徳により信頼を集めてか
ら改革に踏み切った例ということができるだろう。

「仁愛」により人民の信頼を集める。
次に強い「志」に基づき「変革」を進める。

5人の偉人はどちらか片方だけに偏っていたわけでは決してない。独断的、強
引に変革を進めたわけでもなく、単なる「仁愛」だけの「ただのいい人」でも
ない。その二つをきちんと使い分け、世のため人のために社会変革を成し遂げ
ていったのだ。

これは、洋の東西を問わずリーダーが組織を変革する際の王道ではなかろうか。
私は「代表的日本人」を読みながら、様々な記憶が一本の糸で結ばれていくの
を感じた。

これまでの一年間、全13回開催してきた、東洋哲学の偉人に学ぶ勉強会、小倉
広「人間塾」でのエッセンスをぎゅっと圧縮して2時間のプログラムを開発し
てみた。それが、小倉広「次世代リーダー塾」の第1回目「東洋哲学の偉人に
学ぶリーダーに求められる人間力と生き方」(東京・大阪・名古屋)という講
座だ。
https://i-magazine.jp/bm/p/aa/fw.php?i=ogurahiroshi&c=14&n=7

上記「代表的日本人」だけでなく、西郷隆盛、二宮尊徳、佐藤一斎など、江戸
~明治時代の偉人や、安岡正篤、森信三など昭和の偉人から学んだリーダーの
あり方、生き方を皆さんと一緒に学んでみたいと思う。

この講座は、20年近くにおよび私のコンサルタント歴の中で初めての、自社開
催セミナーとなる。「人間塾」において「代表的日本人」を選んだのと同じよ
うに、私も本セミナーを自らの「集大成」とできるよう、全力を傾けて参りた
いと思う。「代表的日本人」を学んだ、第12回目の小倉広「人間塾」を振り返
りながら、私はそんなことを思った。
https://i-magazine.jp/bm/p/aa/fw.php?i=ogurahiroshi&c=14&n=7

株式会社小倉広事務所 代表取締役 小倉広

【 編集後記 】
昨日、セミナー講師仲間の友人二人と連れだって、箱根へ行ってきました。
箱根神社でご祈祷をしていただき、さらに二カ所の九頭竜神社、さらには、
駒ヶ岳山頂にひっそりと建つ箱根神社元宮を訪ねて参りました。

ガイドをしてくれたカウンセラーの竹内ミカさん曰く「これだけの素晴らしい
晴天は珍しいですね」と。本当に雲一つない真っ青な空に、真っ赤な鳥居が
くっきりと映え宇宙の誕生を感じることができました。
http://hakonehealing.jp/

帰りの車の中でリーディングしていただいたところ、私は前世で大きな軍隊
を率いていた将軍だったことがあるそうです。理念に基づく戦いでたくさん
の部下を率いて彼らを犠牲者にしてしまった。そのときの罪悪感を引きずり
余計に相手の人生を背負おうとしたり、過度の責任感を感じてしまう。罪の
意識が強すぎる、とアドバイスを受けました。

そして、私自身が人生を謳歌すること。その姿勢を読者の皆さんに伝えるこ
とも、皆さんを救う道になるのだ、と。まさに年末年始と働きづめに働いて
いた現在の私に必要なタイミングで必要な助言をいただいたと実感しました。

今年の私のテーマは「休む」ことと「力を抜く」こと。とかく「求道者」の
ように思われがちな私。若かりし頃にあまりにもいい加減な人生を歩んでい
た反動で頑張りすぎている私にちょうどいいタイミングでの箱根詣でとなり
ました。ミカさん、そしてご一緒いただいた友人のお二人、どうもありがと
う!また、箱根で神秘体験しましょうね。

では、次回もお楽しみに!

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