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1月30日配信 アドラー心理学書籍要約&解説 メルマガ  vol.20 「人生の意味の心理学」上巻 アルフレッド・アドラー(2)

  • 2017年01月31日


vol.20 「人生の意味の心理学」アルフレッド・アドラー (アルテ) 上巻(2) 


「人生の意味の心理学」アルフレッド・アドラー (アルテ) 上巻(2)
【 第2章 】心と身体

◎心がいかに身体を支配しているかをすぐに理解できる。
心は運動の目標を決めるのである。
(中略) 運動には目標がなければならない。
運動の目標を決めるのが心の働きなので、
心は生命を支配する位置にある。

◎心はモーターに似ている。
身体の中に発見できるすべての可能性を動かし、
それが安全であらゆる困難を克服する援助をするのである。

◎最終的な安全の目標を追求する時、
心はいつもその目標を具体的にする必要性に直面する。
即ち、どこに安全があるか、
どのようにそれが得られるかを計算するという必要性である。

◎生まれてからの最初の四年か五年で、人は心の統一性を確立し、
心と身体の関係を形作る。
この時期の間に、受け継いだ性質と環境から受け取った印象を得て、
それらを優越性の追求のために適応させる。
五歳の終わりまでにパーソナリティは形作られる。
人生に与える意味、追求する目標、課題へのアプローチの仕方、
感情的な性質がすべて決定される。
それらは後に変えることができるが、
子ども時代に獲得した間違った方へと導く態度から、
自らを自由にすることができる時だけである。

◎夜尿症はいくつかの目的に役立つ。
注目を引くこと、他の人を仕えさせること、昼だけでなく、
夜も注目させることである。
時には、反感を買うために使われる。
その習慣は宣戦布告なのである。
どちらにせよ、夜尿症が、実際、創造的な表現であることは明らかである。
子どもは、口の代わりに腸で話すのである。

◎もしも少年が臆病であれば、彼の臆病は、成長の全体に反映される。
彼は身体的に何かをなしとげようとはしない。
あるいは、むしろ、そうすることが自分の手に届くとは思わないだろう。
その結果、筋肉を有効な仕方で鍛えることなど思いもつかないだろう。
そして、普通は、筋肉の発達のための刺激になるであろう
外からの印象をすべて無視するだろう。
筋肉の訓練に関心を持つ別の子どもたちは、
関心がブロックされている臆病な少年よりは、
身体のフィットネスにおいてより進歩するだろう。
われわれは、このような観察から、
身体の全体の形と発達は心によって影響され、
心の誤りと欠と結論づけてしかるべきだろう。

(小倉による解説)
アドラー心理学は明らかに認知派である。
アドラーに大きく影響を受けたことを自認し、
北米アドラー心理学会の会員でもあるアルバート・エリスの有名なセオリー、
ABC理論によれば、
できごとが直接的に行動に影響を与えるのではなく
ビリーフ(信念)による認知が言動に影響を与える。

ゆえに、言動を変えるのではなく、
ビリーフを変え、認知を変えない限り、行動は変わらない。

これはまさにアドラー派の考え方そのものである。
心は体を動かすモーターであり司令塔なのだ。
しかし、体の動きにより心も影響を受けることをアドラー派は否定しない。
それこそがまさに全体論であり、
心と体は一つであり矛盾しないというセオリーにつながるのだ。

◎感情は、身体が特別の反応で状況に対処することを準備する。
空想や共感は、予測の方法であるが、それ以上のものがある。
それらは適切な情動をかき立て、それに反応して身体が活動する。
このようにして、人の感情は、人が人生に与える意味と、
その追求のために置く目標によって形作られる。
大部分は、感情は身体を支配するけれども、身体に依存しない。
常に主として、目標と結果として生じるライフスタイルに依存するだろう。

◎人のライフスタイルが行動を支配する唯一の要素ではないことは、
明らかである。
態度(ライフスタイル)は、さらなる援助がなければ、
行為を引き起こすことはない。
行為になるためには、感情によって強化されなければならないのである。
個人心理学の見方において新しいことは、
感情は決してライフスタイルと矛盾しないというわれわれの観察である。
目標があるところでは、感情は目標を達成するために自らを適応させる。

◎感情は人のライフスタイルの真の表現であり、
ライフスタイルを変える時にだけ根絶されるからである。

◎親に付き添われ、援助され、支えられることに慣れている子どもが
不安を見せることは、それが何に由来するものであれ、
母親をコントロールする非常に有効な手段であることを
見出すかもしれないということを知っている。
われわれは怒りの身体的な叙述にも満足しない。
われわれの経験は、怒りが、
人や状況を支配するための手段であるということを示してきた。

◎悲しみによって優越性の目標を達成する人は陽気にはなれず、
達成したものに満足できない。
そのような人は、惨めな時にだけ幸福になれるのである。
われわれはまた、感情が思いのままに現れることも
消えることにも気づいている。
広場恐怖症の患者は、家にいる時や、
他の人を支配している時には、不安感を持たない。
神経症患者は、支配者になれるほど自分が強いと感じられない
あらゆる人生の側面を排除するのである。

(小倉による解説)
行動は心(認知)により引き起こされるが、それだけでは足りない。
前に進める(ドライブさせる)ためには感情による強化が必要だ。
ライフスタイル(性格)により方向性を定めたら、
感情というアクセルを使って前に進め、行為が引き起こされる。
ライフスタイル+感情=行為。
この図式はシンプルだ。
しかし、感情もまたライフスタイルにより引き起こされる。ループしている。

◎目標を誤った方向に固定した心、
例えば、協力する能力を発達させていない心は、
脳の発達に特別な影響を及ぼすことに失敗するだろう。
このため、われわれは協力する能力を欠いている多くの子ともたちが、
後の人生で、十分、知性や理解する能力を発達させなかったことを見る。

◎われわれが人を評価し理解するのは、この協力の程度からである。
例えば、あらゆる誤りに共通するのは、
協力する能力が劣っていることである。
これまでのところでは、心理学的な相違を理解するために
われわれが持っている最善の鍵は、協力する能力の程度である。

◎われわれは、人が世界と自分自身に与える意味、目標、追求努力の方向、
人生の課題に直面する方法を調べるのである。

(小倉による解説)
アドラー心理学を含む心理学的アプローチと脳科学者のアプローチは異なるため、
互いに相手の理論と相容れないことが多い。
脳科学の分野に属する人は、心や行為は認知ではなく
脳の機能障害やセロトニンなどの分泌の問題であることに焦点を当てたり、
もしくは生育環境や遺伝子配列による影響に焦点を当てる。
一方心理学は逆である。
しかし、それらはいずれかが正しくいずれかが間違っているのではなく、
どちらも正しいのではないかと思う。
直接的な因果関係と間接的な因果関係の違いだけではなかろうか。
たとえば、本書によるように認知(ライフスタイル=性格)により、
使われる脳の領域や発達が変わっていき、
結果として脳の発達や機能が制限され、脳の問題であるかのように見える。
また、遺伝子や生育環境による発達の影響は当然あるが、
ダイレクトに発達に影響するのではなく、
遺伝子や生育環境をどのように受け止めるか(認知するか)といった認知、
心の問題によるだろう。
そう考えれば、どちらも正しいということになる。
因果関係が連鎖しているだけで、どちらがより直接的であるか、
だけの違いであるように推測する。

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