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12月28日配信 アドラー心理学書籍要約&解説 メルマガ  vol.18 「現代アドラー心理学」上巻 (18)第九章

  • 2016年12月28日


vol.18 「現代アドラー心理学」上巻 第九章 パーソナリティのタイプ より

「現代アドラー心理学」上巻 G.J.マナスター+R.J.コルシーニ 春秋社
(18)第九章 パーソナリティのタイプ より

● セラピストに提示される問題でよく言われるものの一つは「決心できない」
「決められない」という問題である。アドラーはそのような人々を
「YES,BUT」式の人々と呼び、彼らに欠けているのは「勇気」であると言う。
勇気とは決断を下し、危険を冒す能力である。人生はすべて危険からなっている。
だが、多くの人は「逃避する者」「ためらう者」であり、その結果、彼らは
チャンスをつかもうとせず後ろばかりを振り返るのである。

●「もし・・・・・・だったら」と言い、「ああすればよかったのに」と愚痴り続け、
「始めるには年を取り過ぎた」と繰り返すような人もためらう人、逃避する人である。

(小倉による解説)
「決められない人」は「決めたくない」のである。「決められない」というのは
自分や他人に対する嘘である。目的論に照らせば「決めない」ことにより
「優越」を獲得しているか、もしくは「劣等」を回避しているのだ。
つまりは「決められないほど繊細で深く考える聖なる人間であるという優越」を
アピールしているのか、もしくは「決定して失敗したくない、傷つきたくない、
バカにされたくない、という劣等の回避」を行っているのか、もしくは
その両方なのである。

● アドラーによれば、神経症患者は「個人的野望」対「共同の福祉」の関係で
問題を解決しようとしている人である。個人的野望に向かう線は無益な道である。
共同の福祉へ向かう線は有益な線である。問題に直面した人は
「YES」(共同体感覚)という。しかしそこで行動せずにすませようと
言い訳を探し「BUT」という。そして動かず止まってしまう。それは自己の
拡大や甘やかしという無益な方向に進むのか、それとも有益な共同体感覚の
方向へ進むのか決心出来ない人に関することなのだ。
彼らは「決断できません」と言う。これは一種の未成熟でためらいの態度である。

(小倉による解説)
「決められない」の基本構造は「個人的野望」(FOR ME)と
「共同体感覚」(FOR YOU)の葛藤である、というアドラーの見解は
極めて興味深い。自分のケースを当てはめてみても答は明快である。
つまり、共同体感覚に沿った線で判断すればいいのだ。しかし、そこでずるさが出る。
「そんなことをしてもムダではないか?誰も喜ばないし、気づいて
くれないのではないか?(評価してもらえないのではないか?)」
「ええかっこしいとバカにされるのではないか?」これらはまさに
「個人的野望」でしかない。今後、自分が「決められない」時は、この対立軸に
照らして整理してみると、すんなり決められるのではなかろうか、と思う。

● 決められない人は「決定しない」という決定を支えるために様々な
主観的感情を発達させる。その一つは「不安」である。人生に直面し、
決定できないのは自分のせいではない、と感じ「疲れている」「消耗している」
「不安だ」などと言うのである。

● 失敗を恐れるのは十分正常なことである。だが人生というゲームに
おいて戦いを拒否し、勝つことも負けることもできないのは逃避する者の
好例である。現状を維持しよう、対決を避けようとしているのだ。
しかし、その間にも人生は進んで行く。ためらう人は多くのチャンスを
失ってしまう。そして、今では遅すぎる、と思うようになるのである。

● ある若者がなすべき家事や宿題を「忘れた」と言った。そのような
「物忘れ」は、まず疑いなく「忘れたかった」のである。
「覚えていたくなかった」ということを意味している。心というものは
非常に柔軟で便利な道具なので、我々は望ましくないこと、都合の悪いことを
心からぬぐい去ることができる。子どもは楽しい遊びはめったに忘れないが、
楽しくない仕事はしばしば忘れるのだ。それゆえ「忘れること」は
知性に奉仕しているのだ。

(小倉による解説)
私は子どもの頃から現在に至るまで「忘れん坊」である。
そして、ここ数年、それがさらに顕著になってきた。一時は老化現象であろうか、
と思ったが、アドラーの分析と同じ結論に達した。私が忘れることと忘れないことには
明確な一線があることがわかったからだ。私が忘れるのは「面倒なこと」
「やることで対人関係のストレスや知的ストレスがかかること」
「やることで失敗の可能性が高いこと」であることがわかった。
そして忘れないことは、やっていて楽しいことであった。

以上 「現代アドラー心理学」上巻 G.J.マナスター+R.J.コルシーニ 春秋社 完

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