作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

7月22日配信 アドラー心理学書籍要約&解説 メルマガ  vol.12「現代アドラー心理学」上巻 (12)第八章

  • 2016年07月22日


vol.12 「現代アドラー心理学」上巻 第八章 パーソナリティの維持 より

●ライフスタイルとは、我々が自分自身について、世界について、他者との
相互関係について持っている一連の結論であり、万事についての青写真であり、
人生哲学、行動計画、傾向、姿勢、構えであり、つまりは我々がどういうものであるかを
示す中心的部分である。

●我々は自分がどれほど愚かな行動をしていても、どれほど失敗しても自分が良識を
持っていると思う。たとえ人生がうまくいっていなくても、我々はライフスタイルに
しがみつく。あたかも海の上で救命具にしがみつくように。
我々はそれしか持っていないからである。

●人々がライフスタイルを変えないのは
(A)あやまちに気づかないから
(B)指摘されてもその代わりに何をしていいかわからないから 
(C)古いライフスタイルを捨てて新しい未知の世界に向かう勇気を持っていないから 
のいずれかである。

(小倉解説)
ライフスタイルに限ったことではなく、例えば、部下の仕事のやり方が非効率だとしても
理屈は同じである。非効率な仕事をしている部下はそれが正しいと思っている。
部下がそれを改めようと思うには(A)指摘されることであやまちに気づく 
(B)過ちを指摘された後でどのようにすればいいかを教えてもらう 
(C)自分を変える勇気を補充してもらう、つまり勇気づけてもらう の3つが必要であろう。
しかし、私たち上司はえてして(A)の問題指摘のみ、もしくは(B)のどうすればいいのかと
いう新しいやり方の指示、でとどめてしまう。(C)の変化を恐れないよう勇気づける、
にまで頭と心が及ばないのである。

●我々が自らのライフスタイルを維持する方法は3つある。
(1)適応を通じて
我々は靴に合わせて自分の足を変えるように、ライフスタイルに自分を合わせ始める
(2)自己強化によって
我々は自らのかたよった観察を通して自己評価や自己正当化によって、自分自身に考えを
「吹き込む」
(3)成功によって
たとえ試験に落ちても「もし勉強していたら受かっただろう。私は自ら勉強しないことを
選んだのだ」「愚かの者だけが勉強する」など自分の思考をねじ曲げて、つまらない
ライフスタイルを維持していくのだ。こういう人は失敗を失敗と認めないことによって
成功するのである。

●彼らは百回に一回成功すればそれを続ける理由として十分なのである。
賭け事が愚かで必ず負けると分かっていても賭け続けるのはそれが理由である。

●ある集団に属したいと思う人はその集団の中でどのように行動すればふさわしいかを学ぶ。
このようにして彼らは共同社会のメンバーになりながら、自分のライフスタイルを維持し、
正当化していく。言葉を変えるならば、彼らはライフスタイルを続ける、という枠組の中で
自分の行動を正当化する複雑な方法を学ぶ。これをアドラー派では自衛傾向と呼ぶ。

●ある母親が子どもが勉強しないことで怒っている。我々の判断では、母親の過干渉に
対して子どもが反発していることがわかった。我々は母親が行動を変えれば好転するだろう、
と伝えた。母親は忠告に従い、物事は好転した。この経過は以下のようである。
(1)認識:母親は子どもと子どもとの関係性について新たな認識を持った
(2)行動:母親の行動が変化した。(3)感情:争いが減り母親は満足した。
つまり順番は(1)思考(2)行動(3)感情である。しかし、時に我々はまず
(2)行動を変えることを提案する。それにより(3)感情が変化し、(1)思考が
変わることもある。しかし、最も重要なのは(1)思考、認識である。

(小倉解説)
私はアドラー心理学を学ぶ前から同様のことを感じていた。つまり、人が変わる、
ということは(1)思考、認識が変わることだ、と。しかし、それは簡単ではない。
そこで(2)行動を変えると(1)思考が変わる。だから、いきなり(1)思考を変える
という上級編にチャレンジせずに(2)行動を変えることで(1)思考を変えるという
初級編が望ましい、と。そして、思考と行動はつながっている。心身一如である、
と感じていた。アドラー派のカウンセリングがそれと同じ考えを持つということを知り、
深くうなづいた記憶がある。

  

●すべての人は自己と他者について一連の概念、ライフスタイルの土台となる
哲学を発達させる。これをプライベート・ロジック(私的論理)と呼ぶ。
これはしばしば、アドラーが呼ぶところのコモン・センス(社会生活の常識)と一定しない。
この帰結をベーシック・ミステイク(基本的誤り)と呼ぶ。しかし、多くの場合、
人は非常に多くの防衛機構を持っており、自分の誤りに気づかないため、セラピストは
あらゆる秘法を必要とされる。

●ジムは過去11年間修士号を取得しようと数ダースに及ぶ修士論文を蓄積したが
一つも提出していない。不十分だと思っているからである。また小学校教師の職を辞して
博士号を取りたいと思っているが、修士号も取らずにどうして博士号が取れるだろうか。
また、彼は33歳独身だが、二人の彼女のどちらとも結婚したいと思い決心がつかない。
そんな彼がセラピーを受けて、人生を変えた。論文を提出し、博士号のコースに登録し、
二人の女性と別れた。何が彼を変えたのか?彼は自分がどれほど愚かな
ベーシックミステイクを抱えているかを認めたのだ.その途端彼は行動を変えた。
彼の愚かな考えとは以下であった。
「自分は成功できない」「兄は自分より優れている」「誰も自分を愛さない」
「自分はチャンスをつかむことを避けなければならない」最初彼は、このような
プライベート・ロジック(私的論理)に気づかず、指摘されても強く反論した。
「自分はこれまで努力してきた、また愛されてきた」と。しかし、とうとう彼は
自分の人生を違った風に見ることになり、新しい考えを持つようになった。
そして行動を変えたのだ。

●ある女性のライフスタイルは以下であった。「私は善人ではない。世界は
善人しか受け容れない。だから私は善人でなければならない」このライフスタイルで
決定的な間違いは、自分がつねに、あらゆる状況で絶対的に善人でなければならないと
信じていることである。このベーシックミステイク(基本的誤り)こそが
彼女の問題を引き起こさせるのである。

●ある人は「自分はちっぽけで嫌なやつだ。世の中は偉大で善良な人間が報われる。
だから自分は偉大で善良にならなければならない」。しかし、それでは、他者に
反対することも、成功することもできない。徳のある人でも成功すれば人から
反発や不満足を受けるだろう。誇張された目標を持つことはこのような性質を持つのだ。

「現代アドラー心理学」上巻 G.J..マナスター+R.J.コルシーニ 春秋社
(12)第八章 パーソナリティの維持 より

Top