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9月15日配信 小倉広メルマガ vol.213 『 「実際は難しいよね……」で、会話を終わらせる人は成長しない。』



vol.213「 「実際は難しいよね……」で、会話を終わらせる人は成長しない。 」
出典:成長する人は知っている28の小さなきっかけ

「『今日の物を明日に譲り、今年の物を来年に譲り、そのうえ子孫に譲り、他人に譲ると
いう道がある。雇人となって給金を取り、その半分を使って、半分は将来のために譲り、
あるいは田畑を買い、家を建て、蔵を建てるのは子孫へ譲るためだ』。二宮尊徳先生は、
こうおっしゃっているわけです」

小倉広「人間塾」のテキストである『二宮翁夜話』を引用しながら私が解説をすると、
数名の塾生さんがこそこそ、とおしゃべりをしたのが聞こえました。
「わかるけどねぇ。実際には難しいわよねぇ……」

そう言って二人で笑ったのです。
私はそれを聞いて、もったいないな、と思いました。注意しようかな。そう思いました
がやめておきました。時間をおいて、最後の総括の場面で語ればいい、と判断したからです。
そして、ディスカッションが終わり、いよいよ総括の場面となりました。塾長の私は、
おしゃべりをしていた二人を特定せずに、あくまでも一般論としてこう語りました。

「本を読み、そこからできるだけ多くのことを学ぼうと思うならば、フィルターのスイッチを
OFFにすることが大切です。『ここはいいことを言っているが、ここはどうも違うな』
とか、『この話はうちの会社にも当てはまるが、この話はうちの業界には当てはまら
ないな』というように、フィルターをかけていては、本当の意味での学びはできません。
そうではなく、すべてを『正しい』と丸受けするのです」

「もしも『おかしいな……?』と思う箇所があった場合は、「私が間違っているのかもし
れない』『私のレベルが低いから理解できていないんだ 』。そう思うのです。そして、著者
が言っていることを『どのように考えれば受け容れられるようになるのか? 』と考え、受
け容れられる方法を探すのです。すると学びが格段に深くなる。そこで初めて、著者の言
いたかったことがわかるよになるのです」

私は続けました。

「同様に、読み終わった後も大切です。多くの人は本を読んだ後にこう言います。『確か
にいいことは書いてある。でも、難しいよね……』そう言って『思考停止』してしまうの
です。『難しいよね』という、たったの一言で、せっかくの学びをゼロリセットにしてし
まう。読まなかったのと同じにしてしまうのです。これはもったいない」

私はちらりと、先の二人組の様子を見ました。ドキッとしているようです。私は視線を
中央に戻し、こう解説をしました。

「難しいよね」を言ってはならない。そこで「思考停止」をしてはならない。そうではな
く「どうすればできるだろうか?」を考え続けるのです。そして、ひとつでも、ふたつで
も実行してみる。それを継続、拡大していくのです。

「難しいよね」そう言い、笑い合うことは、互いに免罪符を発行し合うようなものであり、
互いにハードルを下げ、慰め合うようなものです。負け犬が傷をなめ合うようなもの。
だから、言わない方がいい。 私はそう思っています。

ただし、「難しいよね。けれどやってみようよ」と、前向きに一歩踏み出すのであれば
いいと私は思います。「難しい」から、完壁に100点を狙うことはできない。けれども、
20点でも30点でもいいからやってみる。まずは一歩だけでも足を踏み出してみる。その前
の、照れ隠しとして「難しいよね」から言葉を始めるのであれば、それはそれでいい、と
私は思います。

かくいう私も「難しいよね」という一言で、すべてを終わらせて、やらない言い訳にし
ていた時期が長くありました。研修が終わったとき。本を読み終わったとき。上司からの
訓示を聞き終わったとき。友人や同僚と目を合わせ、「わかるけれど、難しいよね」「そう
そう。難しいよね」そう言い合った、それですべてを終わりにしていた時期が長くありま
した。

今から思えば「難しいよね……」と声に出した途端に、それまで学んだことをすべて水
に流していたように思います。つまり、まったく学びがムダになった。友人や同僚と傷を
なめ合い、努力をやめる、という選択をその場でしていたように思います。

そうではなく、「難しいよね。けれどやってみよう」と踏み出すのです。そのためにも
「難しいよね」を他人と共有するのはやめた方がいいでしょう。そうではなく、自分 一人
でつぶやくのです 。そして、必ず「けれど……」と行動へ踏み出す。そんな習慣をつくる
ことが大切だと私は思っています。

私はそんな風にして「難しい」ことをいくつもやり遂げることができるようになりまし
た。3年間欠かさず続けた毎日のメールマガジンや、1年間で23kgの減量に成功したダイ
エットや、1年間で10冊の出版、一度もフルマラソンを完走したことがない中で、いきな
りウルトラ・トレイルマラソン(山道のアップダウンを100km走る競技)の完走……などなど。
「 難しいよね。けれど、やってみようか」の精神で乗り切ることができました。

「難しいよね」と友人と笑い合い、免罪符を発行し合って、会話を終わらせることをしな
かったのです。「難しいよね」と「けれど」を必ずセットにする。もしくは「難しいよね」
を口にしない。私にとって、自分との約束になっている言葉です。

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