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7月30日配信 小倉広メルマガ vol.197 『 損は損ではない。得は得ではない 』



vol.196「損は損ではない。得は得ではない 」

「このメルマガ、無料でいいの?」と言っていただくことがある。
その度にヨコシマな考えが頭をよぎる。
そうか。有料化できるかも……。その方が儲かるぞ……。

しかし、この考えは極めて危険だ。それは違う、と心の声が聞こえて来る。
私は自分にストップをかけた。

「損は損ではない。得は得ではない」
経営者が尊敬する歴史上の偉人で筆頭にあげられることの多い西郷隆盛翁の
言葉である。

「徳に励む者には、財は求めなくても生じる。したがって、世の人が損と呼ぶものは
損ではなく、得と呼ぶものは得ではない」そういうことだ。

目先の欲に目が眩んで「得」を追い求めると、顧客の信頼を失い、商売は失脚する。
それは「得」なようであって「得」ではない。逆に「損」を覚悟で顧客の利益を
優先していると、顧客はこちらを信頼してくれファンになってくれる。
やがて長い目で見ればそれは商売にプラスとなり、「損」は「損」でなくなるのだ。
「損して得取れ」。商売繁盛の鉄則である。

先のメルマガ有料化の話を例に取るならば。「無料でもいいの?」と言われて目先の
「得」を追いかけてしまうと、大切な信頼を失い、結果的に「損」になってしまうだろう。
一方で「損」でもいい、と思い、読者の皆さんに「得」をしてもらうことを心がけていれば、
やがてそれは「損」ではなく「得」になって返ってくる。そういうことなのではなかろうか。

また、先日ある講師仲間から何気なくこのように質問を受けた。

「小倉さんはどうやってセミナー集客をしているのですか?集客の心配をしなくていいように
上手な宣伝のやり方を教えてください」

私はこうお答えした。

「生意気なようで恐縮ですが、そんな方法はない、と思います。
『先義後利(せんぎこうり)』という言葉があります。先に『義理』を果たしていれば、
後から自然に『利益』がついてくる。どれだけ先に『義理』を貯金するか。
つまり『損』を貯金するか、だけなのではないでしょうか」と。

この話だけを聞けば、さぞや私が立派な経営者に聞こえてしまうかもしれない。
しかし、その逆なのだ。私が目先の「利」に目がくらみ「義」を後回しにしてしまった
苦い失敗の体験から骨身にしみた先人の教えなのだ。私が「できている」ことではない。
必死になって「やりたい」「変わりたい」そう思っている教えこそがこの「先義後利」なのだ。

心理学の言葉に「返報性」というものがある。こちらが相手にとって良いことをしてあげたとしたら、
相手は必ず「お返し」すなわち「恩返し」をしたい、と思う、というものだ。
まさに「先義後利」そのものだ。
そして「損は損ではない」という言葉を合理的に説明している理論だと思う。

しかし、この「返報性」には続きがある、と思うのだ。「善」を相手に贈れば「善」が返ってくる。
しかし、相手に「悪」を贈れば同じように「悪」が返ってくる。つまりは、恩に対する「恩返し」も
「返報性」であるならば、「目には目を。歯には歯を」の「復讐」「仕返し」もまた負の「返報性」と
言えるだろう。

商売においてもこの「返報性」は必ず働く。こちらが「善」を贈る。すなわち「損」を取る。
とすると、相手は「恩返し」という「返報性」で応えてくれるだろう。
しかし、こちらが自分の「利」を追い「得」を追えば、顧客も自分の「利」と「得」を追うだろう。
「目には目を」「復讐」と「仕返し」が返ってくる。「得は得ではなく。損は損ではない」それが
起きるだろう。

ただし、この法則には一つだけ条件がある、と私は思う。それは「利を期待して損を取る」
のではない、ということだ。「利を得るために損を取る」のは「損」ではなく「利」を追う行為だ。
それは「損」のふりをしているだけだ。そんなおためごかしは顧客にばれてしまうに違いない。
余計に信頼を失うだけだろう。だから「利」を期待せずに「損」を取るのだ。
それが条件になるのだと私は思う。

「損」の貯金をしていきたい。「得」の誘惑に惑わされないように自分を強く戒めたい。
日々葛藤し、日々間違いそうになるけれど。道を間違わないようにしていきたい。
そんなことを考え、自分ではまったくできていないけれどもメルマガに書いてみようと思った。


【 編集後記 】

「損して得とれ」は本来「損して『徳』取れ」すなわち、損をしていると
人から敬われ徳のある人物と思われる、という意味だったそうです。

しかし、人々から「徳のある人」だと思われたなら。よほど商売が下手でもない限り、
勝手に利益はついてきてしまうのではないか。つまり「損して『徳』取れ」は全自動で
「損して得取れ」にもつながってしまうのでは?そう思うのです。

しかしその損は「付加的努力」によって行うべきものでしょう。
仕入れ値が10万円のものを8万円で赤字販売していたのでは、そもそも商売が成り立ちません。
そうではなく10万円のものを15万円で売りたくても14万円で抑え、顧客に丁寧な
アフターフォローを行ったり、商品販売だけでない付加価値的な提案をしっかりすること。
それが「損」なのではないか、と思います。

では、次回もお楽しみに!

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