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7月1日配信 小倉広メルマガvol.273「特別扱いしないことが本当のやさしさなんだよ」



vol.273「特別扱いしないことが本当のやさしさなんだよ」

名古屋ターミナルホテルアソシアには、耳の不自由な女性従業員がいた。
障がい者だから雇用したんじゃない。
彼女が人を幸せな気持ちにできると思ったから、柴田さんは採用したのだという。

だから、柴田さんは彼女をカフェ・ジャンシアーヌに配属した。
人前に出ない裏方では、彼女の良さが発揮されないと思ったからだ。
もちろん、耳が聞こえない彼女が接客をするためには、乗り越えなければならない壁がたくさんある。
それは彼女も一緒に働くスタッフも承知のうえだった。

ある日、事件は起きた。
何度呼んでも一向に振り向く気配もない彼女に対してお客様がしびれを切らしたのである。
「おい、聞こえないのか!客をバカにしているのか!」

一斉に振り向く周囲のお客様とスタッフ。
彼女はポケットから取り出したメモを使って筆談でご説明し、丁寧に頭を下げた。
こう書いてあった。

「申し訳ありません。私は耳が聞こえないのでご迷惑をおかけしました」

それでも「なんで、そんなヤツを働かせてるんだ!普通のやつを使えよ!」と
捨て台詞をはかれることもあったという。

彼女は幼い頃から母親と厳しい発声練習を繰り返した。
ゆっくり、途切れ途切れなら話すこともできる。しかし、自分の声が聞こえない。
変な声だと思われたらどうしよう・・・・・・。意味が伝わらなかったらどうしよう・・・・・・。
彼女は常に筆談を選択していたのである。

そんなことが何度か繰り返された後、職場のリーダーはある決断をした・・・・・・。

それは次のうちのどれだろうか?
どうか皆さんも、正解探しではなく、自分がその状況だったらどの答を選択するか?
という視点で真剣に考えていただきたい。

A:配置転換をする。やはり、無理なので内勤など顧客接点のない職場に彼女を異動させる。

B:全スタッフで彼女を全力でサポートする。代わりにお客様に謝る。代わりに対応する。

C:現状維持。

D:彼女に「声でしゃべるんだ」と、話すよう勧める。

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正解は・・・・・・。

D:彼女に「声でしゃべるんだ」と、話すよう勧める。

なんと、彼らはごくあたりまえのように、彼女に自分の力で問題解決をするよう促したのだ。

柴田さんは言う。
障がいを持つ人がごく普通に働くことは特別なことじゃない。
障がいを持つ人へ配慮や思いやりを持ちすぎてしまうことこそが特別なことだ。
健常者と障がい者がそれぞれ自分の苦手な部分をカバーしあえばいい。
健常者が障がい者に助けられることだってある。
ごく自然に、ごく普通に互いが難しい部分をカバーしあえばいいだけだ、と。

その結果、彼女は、自分の言葉でしゃべることが増えていった。
彼女は言う。

「これまで私は小学校から大学まで通って、何かやろうとしても『あなたはまぁいいわ』と言われ、
特別扱いされてさみしい悔しい思いをしてきました。
でも、ここではみんなが真剣に注意してくれたり、むきあってくれた。
そのおかげで、やればできるということを学ばせてもらいました。大きな勇気と自信をもらいました。
たくさんのことを学び、とても幸せです」

「日本でいちばん幸せな社員をつくる!」柴田秋雄著 SBクリエイティブ より

アドラー心理学では世話を焼きすぎる親の行動を「勇気くじき」と見る。
手取り足取り、口出しをする、ということは無言のうちにこう言っているに等しいからだ。

「どうせ、あなたはできないでしょ」
「私がいないと、あなたは何もできないでしょ」

これが勇気くじきでなくて何だろうか。
また、アドラーはこうも言っている。

「世話焼きな親は、世話を焼くことで自分の存在価値を実感しているのだ」

勇気づけとは、相手ができると心の底から信じて見守ることだ。
もちろん、できなかった時の対策は立てる。
できなければ手伝ったり、肩代わりしたりしなくてはならないこともあるだろう。
それは企業組織では特に必要な担保策だろう。顧客に迷惑をかけ続けるわけにはいかないからだ。
「信用」を基準に世の中はまわっている。企業組織では特にそれが顕著だ。
だから「信用」を守るために、策を講ずる。企業としてはあたりまえのことだ。

しかし、その大前提には「信頼」がある。
実績がなくても、根拠がなくても信じる。それが「信頼」だ。
「今回は、担保策をとるよ。企業組織だからお客様に大きなご迷惑をおかけできないからね。
でも、きっとあなたはできる。今はできなくても次はできる。いつか必ずできる」
このように可能性を信じることを「信頼」という。このギリギリをしていくのが人材育成だろう。
それを障がいを持つ従業員さんへの対応として、柴田さんとその仲間たちが身をもって教えてくれたのだ。

このような素晴らしいエピソードの数々を柴田さんが直接披露して下さる講演会がある。
ドキュメンタリー映画の上映会がある。
私、小倉広との対談、そして、柴田さんもご参加いただける懇親会もある。
7月30日(土)午後。
ぜひ、この二度とない体験をしに東京駅から近い日比谷の会場へお運びいただきたい。

●「日本一幸せな従業員をつくる」ホテルアソシア名古屋 元総支配人・柴田秋雄氏
講演+小倉広との対談+ドキュメンタリー映画上映会+懇親会
7月30日(土)12:00開場 12:30〜16:30 日比谷図書文化館B1大ホール
http://everevo.com/event/29829
私が主宰する生き方、人生を学ぶ一般社団法人 人間塾の特別イベント。詳細、お申し込みはこちらへ。

●柴田氏TED講演(18分)
https://youtu.be/-WkdFZ1WV3M
●「日本一幸せな従業員をつくる」映画予告動画
https://www.youtube.com/watch?v=xUdyhQsodNE
では、会場でお目にかかることを楽しみにしています!

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