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6月24日配信 小倉広メルマガvol.271「従業員入り口まで来ました。でも一歩が出ません……」



vol.271「従業員入り口まで来ました。でも一歩が出ません……」

「一流を手軽に」をコンセプトに、中級シティホテルとして運営してきた
JRグループ、ホテルアソシア名古屋ターミナル。
しかし、同ホテルはバブル崩壊後経営が低迷し、4期連続の赤字で債務超過。
しかもすぐ隣のJR再開発ビルには超高層ツインビルの一棟に52階建ての名古屋マリオットアソシアホテルが
オープンすることが決まっていた。
親会社はリストラを決断。それまで150名だった従業員を三分の一の50名へと減らすことに。
従業員は疑心暗鬼。
雰囲気は最低、先行きは真っ暗な状況。
そんな中、柴田総支配人はホテルを建て直そうと必死だった……。

「うちのホテルに心が少し壊れていたアルバイトの子がいる。
他ではどこも雇ってくれないと言うからうちにおいで、と言った」柴田さんはあっけらかんと語る。
「そしたらよ。ある日携帯が鳴ったでよ。心の壊れたその子よ。どした?と聞くと、小さな声でこう言うんだ」
「GM……ホテルの従業員入り口までは来れたんです……でも、そこから一歩が出ません……」消え入りそうな声だった。という。
さて、その時、柴田支配人はどう答えただろうか?

あなたが総支配人だったらどうするか?考えながら選んでほしい。

A:「もうちょっとだ。その扉を開けてごらん。みんな待っているよ。大丈夫」と背中をそっと押す。

B:「仕事なんだからとっとと来なさい。甘えているんじゃない」とわざと厳しく突き放す

C:「僕に聞いてもわからないな。キミの上司は○○チーフだろう。彼に電話をしなさい」
  と指揮命令系統をハッキリとさせて任せる技術を発揮する

D:「わかった。無理すんな。今日は帰っていいから、元気になったら来いや」と優しく伝える

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この物語は実話である。
倒産寸前のホテルを戦略ではなく愛で建て直し、その後7期連続黒字、稼働率1位、
ボーナスの額でも一流ホテルを上回る実績を残した「日本一幸せな従業員をつくった」ホテルの物語だ。

さて。あなたは、先の答えでどれを選んだだろうか?
柴田さんが実行した正解は・・・・・・

D:「わかった。無理すんな。今日は帰っていいから、元気になったら来いや」と優しく伝える
 である。

柴田さんは言う。
「心が壊れたからといって、阻害することもせず、かといって過剰に気を遣うこともしない。
このホテルでは、どんなときもそのままの自分でいていいんだ。
それが安心になって、少しずつ心が回復していくんだ。従業員がどんなときもそのまま、
ありのままの姿で受け止める。それが経営者じゃないか」

柴田さんは続ける。

ある時、別の従業員と話していてたまたま出身校の話になった。
すると彼が言った。
「僕黙っていたけど実は高校出てないんです。いろいろあって一年で辞めて……」

柴田さんは答えた。
「そうか、勉強は好きじゃなかったんだな。じゃあ、身体で勝負すりゃいい」

柴田さんがそんな風だからだろうか。
結果的に同ホテルには、高校中退した子、家出した子、暴走族に入っていた子、
不登校の子など、いろいろな人が集まってきたという。
普通はそんな人ばかり採用したらしっちゃかめっちゃかになるだろう。
しかし、不思議とそれらがまとまった家族のようになっていった。
柴田さんは「誰もが安心して自分を出せるようになっていく」ことが
うまくいった原因ではないか、と思うと話す……。

いかがだろうか?
なんとも器が大きく、あったかい柴田さんの人柄がわかるエピソードではなかろうか。 私は柴田さんのような人間力がない。 だから、理屈でしかものごとを語れない。 あえてそれをするならば、柴田さんは人の力を引き出す人、だと言えるかもしれない。

心理学者ジョン・ボウルビー教授はアタッチメント理論(愛着理論)の中で 「子どもを思う存分抱きしめなさい。愛を与えなさい」と唱えている。 一人でやりなさい。大人なんだから、と突き放すのではなく思い切り甘えさせる。 守ってあげる。それにより、子どもの心の中に安心感、他人への信頼感をつくる。 心の安全基地をつくる。 すると、子どもは自ら冒険を始める。チャレンジし始める。

しかし、幼少期に十分な愛を受けていないと、突き放され不安を感じたままだと、
他者への十分な信頼が築けない。
安心できる安全基地がない。
すると、いつまで経っても不安を抱え、挑戦ができなくなる。
失敗を恐れる子どもになるという。

この理論はアドラー心理学における「勇気」と同じだろう。
人は勇気「困難を克服する活力」が欠乏すると建設的なチャレンジをやめて
非建設的な行動すなわち回避、引きこもり、失敗を恐れる行動を取る。
人間は安全、安心が確保されないとチャレンジできない存在なのだ。

人が相手を信頼するのは「無条件の信頼」を得た時だ。
「条件付きの信用」を得た時ではない。例えこれまでにできなくても。
例え過去に失敗があっても。例え何の担保がなくても。
信用はないが、それでも可能性を信じる。つまり、信頼する。
それにより、相手が自己肯定ではなく自己受容、すなわち「ありのまま、そのまま」
の自分を受け容れることができるようになる。
今はできないかもしれない。でも、いつかきっとできるようになる。
それが信頼だ。それが無条件の愛だ。

しかし、心や愛は一朝一夕に鍛えられるものではない。
それはついつい、独りよがりな、相手不在な勘違いになりがちである。
では、どうやってそれを鍛えるのか?

それは独りよがりではない愛を実践している人、師匠、生き神様に触れることだと私は思う。

●「日本一幸せな従業員をつくる」ホテルアソシア名古屋元総支配人柴田秋雄氏
講演+小倉広との対談+ドキュメンタリー映画上映会+懇親会
7月30日(土)12:00開場 12:30~16:30 日比谷図書文化館B1大ホール
http://everevo.com/event/29829

このような素晴らしいエピソードの数々を柴田さんが直接披露して下さる講演会がある。
ドキュメンタリー映画の上映会がある。
私、小倉広との対談、そして、柴田さんもご参加いただける懇親会もある。
7月30日(土)午後。ぜひ、この二度とない体験をしに東京駅から近い日比谷の会場へお運びいただきたい。

●「日本一幸せな従業員をつくる」ホテルアソシア名古屋元総支配人柴田秋雄氏
講演+小倉広との対談+ドキュメンタリー映画上映会+懇親会
7月30日(土)12:00開場 12:30~16:30 日比谷図書文化館B1大ホール
http://everevo.com/event/29829
私が主宰する生き方、人生を学ぶ一般社団法人 人間塾の特別イベント。詳細、お申し込みはこちらへ。

●柴田氏TED講演(18分)
https://youtu.be/-WkdFZ1WV3M
●「日本一幸せな従業員をつくる」映画予告動画
https://www.youtube.com/watch?v=xUdyhQsodNE
では、会場でお目にかかることを楽しみにしています!

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