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5月16日配信 小倉広メルマガ vol.261 『仕事の優先順位を杓子定規に守る人は仕事を効率よく処理できない』



vol.261「仕事の優先順位を杓子定規に守る人は仕事を効率よく処理できない」
出典:成長する人は知っている28の小さなきっかけ

いかにも今どきの若者らしいなぁ。谷田部さん(仮名)とともに和定食のランチを
食べていたときのことです。私は、彼の独特な食事の摂り方に強く興味を惹かれました。
谷田部さんは、味噌汁をのむときには昧噌汁だけを最後まで。 サラダを食べるときは、
サラダを最初から最後まで、それぞれ一気に食べ進めていったのです。
そして最後に残った白いご飯と焼き魚とを、これだけは交互に食べ進めていきました。
私はほっと胸をなで下ろしました。

もしも彼がしょっぱい焼き魚だけを食べ、最後に白いご飯だけを食べていたら、
私はさすがに注意をしたかもしれません。ようやく交互に食べるようになった
谷田部さんを見て、よしよし、それでよし、と心の中でつぶやいてしまいました。

「ヒロシ、おかずとご飯、昧噌汁は交互に食べるんだよ」
私は子どもの頃にそう、母から躾けられて育ちました。自分の好きなおかず、
たとえばハンバーグやエピフライとご飯ばかりを食べていると、母に必ず
注意されたものです。「ちゃんとお野菜も一緒に食べなさい。ハンバーグと一緒に
キャベツの千切りも食べるのよ!」

「給食食い」という言葉があるそうです。別名、ばっかり食べ、かたづけ食い。
一皿に手を付けたら最後、他の皿に手を付けずに一気にその皿だけを食べる食べ方。
それが「給食食い」というらしいのです。谷田部さんの食べ方はまさに「給食食い」。
現代っ子ならではの食べ方を見て、私は彼に強く興味を惹かれました。

いったい仕事の進め方はどうなんだろう。そんな目で彼の仕事を追っていると、
彼の仕事の進め方もまた、「給食食い」と同じであることを発見したのです。
そのとき谷田部さんは、2日越しで、取りかかっている大がかりなプロジェクトの
書類作成に没頭していました。そこへ、隣の席に座っている松永さんから
回覧書類が回ってきました。

「谷田部さん、新聞クリッピングです」

当社では業界に関連する新聞記事をキーワード検索したものを取り寄せて、社員に
回覧をしていました 。 まずは 一斉にメール配信するのですが、なかなか読んで
もらえないために、2度手間ではあるものの、プリントしたものを机の島ごとに
回覧するようにしているのです。書類作りに没頭している谷田部さんはクリッピングに
見向きもせずに一言「サンキュー!」と言ったまま、書類を作り続けていました。

ふと、彼のデスクを見ると、新聞クリッピングのコピー用紙が5~6枚、彼の
机の上に重なっていました。どうやら、回覧のクリッピングは1週間分、すべて
彼の机の上にたまっているようなのです。これでは、彼より後の順番の人に
回覧が行き渡らず、情報がせき止められてしまいます。私は「仕事も給食食い」
になってしまっている彼に注意をしようかどうか、迷いました。
なぜならば、彼の仕事のスタイルは、かつての若かりし頃の私にそっくり
だったからです。

仕事にきちんと優先順位を付け、重要なものに一心不乱に取り組んでいく。
これは仕事をする上で大切なやり方です。集中力を高め持続させるためには、
途中で余計な作業を挟まない方が効果的。その意味で谷田部さんの仕事の進め方は
合理的であり正しいように思えます。しかし…。

現在の私が谷田部さんの立場だったならば、クリッピングが回ってきた時点で
書類作成の作業を中断。クリッピングを読んですぐに次の人に回すはずです。
それにより、書類作成作業に対する集中力が途切れ、効率が落ちる、ということは
わかっていても、わざとそうするのです。

私が大切にしている習慣の1つに「3分以内で終わる仕事は、気づいたそのときにする」
というものがあります。たとえば、メールを開いたときに、返信が3分以内で終わる
ならばその場で必ず返信するようにしています。同様にクリッピングの回覧を読むのに
3分以上はかからないはず。それならば、もらったその場でその瞬間に読んでしまう。
そちらの方が長い目で見たら効率的だと思うのです。

かつての私は谷田部さんのように、 クリッピングを平気で1週間分ためておくタイプ
でした。なぜならば、クリッピングを読む以上に重要かつ緊急の仕事を常に優先して
片付けていたからです。「暇ができたらクリッピングを読もう」と、優先順位リストの
一番最後にクリッピングを読む作業を置いていたのです。その結果、どうなったかといえば
ご存知の通り。クリッピングは1週間分たまる一方で、隣の机に座っている人に迷惑を
かけ、かつ、古くなった情報は役立たずになってしまったのです。これのどこが効率的と
言えるでしょうか。

またメンタル的なマイナスも見逃せません。たかがクリッピングとはいえ、机の上、
目の前に、いつも1週間分のクリッピングが目につきます。「ああ、悪いなぁ。
迷惑かけているなぁ。やるべきことができていないなぁ」。1日中、このように
自分の心にマイナスのイメージを発生させ続けているわけです。これがボディーブロー
のように自分にマイナスを与え続けます。その分、仕事の効率にもマイナスの影響を
知らず知らずに及ぼしているのです。

「給食食い」のように重要な仕事が終わるまで他のお皿の仕事に手を付けない。
これは 一見効率がいいように見えて、実は効率が悪い仕事の仕方です。
私は以前のような「給食食い」スタイルに戻るつもりはありません。母から
教わったように、ハンバーグとキャベツの千切りを交互に食べるスタイルで
仕事をしていくつもりです。

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