作家、講演家、心理カウンセラー

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

4月30日配信 小倉広メルマガ vol.176 『フランクリン、ただのデブじゃん』



vol.176「フランクリン、ただのデブじゃん」

東京、関西、名古屋で毎月開催している参加費無料の読書会人間塾。
第39回の課題図書は「フランクリン自伝」であった。

アメリカ建国の父であり、100ドル札紙幣の顔であり、雷が電気で
あることを凧を使って解明した、あのフランクリン。生涯に数え切れないほどの
功績を残したフランクリンに学ぶ私たちが注目したのは、彼が26歳の時に残した
有名な処世訓「十三徳」であった。

第一 節制 、 第二 沈黙 、 第三 規律 、 第四 決断 、
第五 節約 、 第六 勤勉 、 第七 誠実 、 第八 正義 、
第九 中庸 、 第十 清潔 、 第十一平静 、 第十二純潔

事前に「自伝」を読み込み集まった塾生の一人、佐橋さん(仮名)は
会の発表の場で、同書の感想を以下のように語り大喝采を受けた。

「『十三徳』にとても立派なことが書いてあるのですが・・・・・・
「第一の徳『節制』飽くほど食うなかれ。酔うまで呑むなかれ」と。
 でも、扉のイラストを見ると・・・・・・。フランクリン、ただのデブじゃん!
この人、絶対『節制』できてなかったな、と。できてないから本に書く。
できてないから『十三徳』の一番目に『節制』をあげたんだな、と気がつきました!」

そう発表すると、塾生一同からやんや、やんやの大喝采を受けたのだった。
私は釣られて一緒に大笑いした。そして、肝が冷えるのを感じた。
「できていないから書く」。まさにその通りだ。世界史に残るフランクリンと
一緒にしては申し訳ないが、私もまた「できていないから書く」その一人である、
と感じたからだ。

著者仲間で集まって呑む時に必ずといっていいほどネタになる話がある。
それこそがまさに「自分で書いていることをできていない」
というものだ。多くの場合、これは次のように語られる。

「いやぁ、奥さんにいつも怒られるんですよ。
『あんた、本に書いてあること。自分で、できていないじゃないの!』
 あの一言、ズキン!と来るんだよねぇ」

すると、他の著者仲間が口々に賛意を示す。「オレも!」「私も!」
と。恥ずかしながら、もちろん私もその一人である。

不思議なもので、本を書いている人のほとんどが、一番苦手なことを書いている。
たとえば、私は間違ったリーダーシップで大失敗を重ね、そこから学んだことを
本や講演で語っている。そして、私の周りには同じような輩がたくさんいる。
話すのが苦手だった人が話し方の本を書く。営業が苦手だった人が営業の本を書く。
英語が話せなかった人が英語の本を書く。そんな例ばっかりだ。

では、フランクリンを筆頭とする、私たち著者は単なる「大嘘つき」
なのだろうか?「詐欺師」なのだろうか?

私はそうは思わない。むしろ「正直者」なのではないかと思うのだ。
自分の心に正直に。学んだこと。感動したこと。発見したことを本に書く。
自分に欠けていることだからこそ、発見の驚きがある。

「あんなにも失敗して、苦しんだ。その原因はここにあったのか!」
「こうすればあの失敗を乗り越えられるのか!」

まさに私がそうであった。「なぜうまくいかないのか・・・・・・?」
悶々と苦しんでいた私が、リーダーシップや人間関係について勉強し、
とことん考え、少しずつ試していく。

スタートした時はゼロではない。人様よりも大きく劣ったマイナスからのスタートだ。
だからこそ、学んだ時のギャップが大きい。伸びしろ、というか、振幅というか。
マイナスだからこそ、幅が大きい。だからこそ、気づきが深い。感動がある。
それをそのまま筆に載せるのだ。

人様よりも劣っているからこそ、気づきが深い。劣っていることだからこそ、 感動が深い。

「ねえ、ねえ、聞いてよ!こんなにすごいことがあったんだ!」

そのみずみずしい気持ちが読み手の心を打つ。 そういうことなのだと思う。

フランクリンもこのように書いている。

「私は自分が心から願った道徳的完成の域に達することはもちろん、
 その近くに至ることさえできなかったが、それでも努力したおかげで、
 かような試みをやらなかった場合に比べて、人間もよくなり幸福にもなった」と。

Better than nothing という言葉がある。
やらないより、やった方がまし、という意味である。

フランクリンの十三徳も。私が目指しているリーダーシップも。
もちろん完全でもなければ、その近くにさえ到達はしていない。
しかし、努力したお陰で、やらなかったよりも、わずかでもマシになった。
努力していなければ、とんでもないままだったことだろう。

歴史上の偉人であるフランクリンに対して不謹慎であるかもしれないが
「フランクリン自伝」から、私はこのようなことを学んだ。


【 編集後記 】

何人かの著者仲間、講師仲間が絶賛されている榎本英剛さん著「本当の仕事」
(日本能率協会マネジメントセンター)を読んでいます。

CTIを通じて日本にコーチングを広めた草分けの一人である榎本さん。
リクルートのご出身とは聞いていましたが、調べてみたらなんと同期入社でした!
なにしろ1100人も同期がいるので知らない人がたくさんいるのです。

6月には榎本さんの主催されているセミナーにも参加予定。
また知人のご紹介で近々食事の機会も取れそうです。灯台もと暗し。
いろいろなところにご縁や学びがあるものだなぁ、と気づいた

今日この頃です。次回もお楽しみに!

Top