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3月22日配信 小倉広メルマガ vol.251 『 そこまでやるかを経験させる 』



vol.251「そこまでやるかを経験させる 」

-達成なんて絶対ムリ
僕がまだリクルートにお世話になっている頃のことです。
右も左もわからない新人営業マンだった僕は、入社後すぐに営業現場に
配属されました。そこで待っていたのは飛び込み、テレアポの新規開拓営業。
ろくに指導もないままに「とりあえず行ってきて」で放り出されたのです。
しかも、3ヵ月間の四半期ノルマ数字がばっちりと課せられていました。

そして、あっという聞に3ヵ月が過ぎました。もちろん、僕の成績は、
目標達成どころか、ほほゼロに近い坊主状態。残りあと3日で締め切りです。
僕は当然のごとく、あきらめていた。そもそも新人が達成などできるわけがない、
と本気で思い込んでいたのです。

すると、僕の顔色を見抜いていたのでしょう。当時の上司がこんな話を
してくれました。それは僕にとって想像を絶するような話だったのです。

-牛を売って目標を達成した営業マン
「なあ、小倉。おまえ、もうあきらめているだろう?」。僕の肩に手を置きながら
上司が話しかけてくれました。いえいえ、あきらめていません。僕は強がりましたが、
上司は笑っていました。おそらく僕の腹の中などは、とっくにお見通しだったに違い
ありません。

「いいか。不可能なんてないんだぞ。おまえは牛を売って目標達成した先輩の話
を知っているか?」。なんだそりゃ?知るわけもない僕は、素直にわかりません、と
答えました。すると、上司は代々語り継がれているいくつかの実話エピソードを
僕に教えてくれたのです。

ある求人広告を販売する先輩営業マンが、締め切り間際でどうしても数字が
足りなかった時のこと。あらゆる顧客にあらゆる商品を案内してギリギリまで
粘ったけれど、どうしても数字が足りない。困り果てた営業マンは
藁にもすがる思いでもう一度顧客リストを見ていました。そして、ふと、
あることを思いついたのです。

「そうだ。食品会社に牛を売り込んだら、どうだろう?」
と。念のためお伝えしますが、彼は求人広告の営業マンで牛を売る人ではありません。
しかし、当時リクルートは関連会社に牧場を持っていたため、まったく関係なくはない
状況でした。そこで彼は関連会社に頼み込み、さらには、当時の上司を説得し、
彼にとってまったく関係のない牛を顧客に売り込むことで、足りない数字を挽回し、
見事に目標達成したということです。

この話は、何が何でも達成するんだ、という執念を表す逸話として、
長くリクルートで語り継がれている、ということでした。

またこんな話も数多く聞きました。それは締め切りの最終日、
何とか申し込みをもらいたいと最後の執念で営業していたある営業マンが
脈のある顧客をつかまえた。しかし、そのお客様は
「ごめん。今から出張なんだ。もう少し早く言ってくれたら良かったのに」
そう言って電話を切ったのです。それを聞いたその営業マンは、
もう一度電話をし、お客様が乗り込む新幹線を調べ上げ、駅へ駆けつけ、
同じ新幹線に乗り、車内で営業。見事締め切り1時間前のギリギリで大型受注し、
目標を達成したというのです。

不可能はない。執念があれば実る。そんな逸話を上司は僕に教えてくれたのです。

-精一杯ってどれくらい?
あなたの部下にとって精一杯ってどれくらいでしょうか?
それは、あなた自身の精一杯と同じレベルになっているでしょうか?
当たり前のことですが、精一杯のレベルは人により異なります。だからこそ、上司の
あなたが、部下たちの精一杯をレベルアップさせてあげることが必要です。しかも、
それはできるだけ早く行わなければならない。そうでなければ、部下たちは精一杯の
レベルをどんどん下げていってしまうからです。

部下の精一杯のレベルを上げるには、かつての僕の上司のように物語を語って
聞かせるのもひとつでしょう。そして、一番いいのは、語るだけではなく、
一緒に体験させること。つまり手を取り導きながら、一緒に顧客のもとへ訪問したり、
一緒になって資料をつくったりしながら、彼らの精一杯がいかにレベルが低いかを
身をもって体験させていくのです。

一度、精一杯のレベルが上がったならば、それが自分にもできる、と思った時に、
部下の行動は変わることでしょう。それこそが部下の成長です。「稼げる社員」に
なるために、あらゆるスキルの中で最も重要なスキル。それは「努力をするスキル」
なのです。

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