経営コンサルタント、ビジネス書作家、人間塾・塾長

小倉広オフィシャルWebサイト

小倉広事務所 HOME

2月22日配信 小倉広メルマガ vol.244 『「ナラティブストラクチャー」で話すと伝わる 』



vol.244「『ナラティブストラクチャー』で話すと伝わる 」
出典:なぜ、上司の話の7割は伝わらないのか

上司が部下の感情を揺さぶるには「ナラティブストラクチャー」が有効です。
ナラティブを日本語に訳すと「口語体」、ストラクチャーは「構造」。
「口伝えで伝わる物語の構造」という意昧です。口伝えで伝わる物語には
たとえば伝説や民話などがあり、これらはナラティブストラクチャーで構成され、
「人が感動する物語」になっています。上司が言いたいことを「感動する物語」に
して部下に伝えると、部下の心に響き、伝わりやすくなるのです。

●Boy Meets Girl
男の子が女の子に出会いました。男の子はその女の子を好きになり、彼女と
付き合いたいと思いました。しかし、その女の子は他の男の子を好きだと言います。
そこで男の子は「あきらめようか」「次の恋を探そうか」と悩み、葛藤します。

しかし、男の子はあきらめきれず、その女の子にもう1回アタックしました。
すると女の子の心が動き、めでたく2人は付き合うことになりました。
これが、ナラテイブストラクチャーで構成された物語の代表的なたとえ話。

何千、何万とあるラブストーリーの原型はこの「Boy Meets Girl」のストーリーです。
この話のように、ナラティブストラクチャーは「欲求」「障害」「葛藤」
「達成」「浄化」の5つのステップで構成されています。

最初に、男の子は女の子と付き合いたいと「欲求」を持ちます。しかし、別の男の子
という「障害」が現れ、その障害のために女の子をあきらめようかという「葛藤」が
男の子に生まれます。しかし、男の子はあきらめずに女の子に告白し、見事女の子の
気持ちをつかみ、「達成」します。そしてハッピーエンドとなり、「浄化」作用が起こる、
ということです。この5つのステップをたどると、感動する物語ができあがります。

ビジネスの話もナラティブストラクチャーに置き換えて話すことができます。
たとえば、貧乏な家に生まれたA君は、「いずれ絶対に金持ちになってやる」と
決心し、働き始めようとします。しかし、学歴も経験もないA君は、どの会社にも
門前払々いされます。やっと見つけた仕事は、細々とした雑用をするつまらない
ものでした。A君は悩みます。「こんな仕事をしたいわけじゃない」
「もっとビッグな仕事をしたいんだ」と。しかしA君は、まずは目の前の仕事を
頑張ろうと思い直し、毎日必死に働きました。その様子を上司は陰からじっと見ていました。

そして、ここ一番の大舞台でA君は大抜てきをされるのです。驚き喜ぶA君。
やがて彼は、ついにその会社の社長にまで昇りつめます。そして、その会社を
どんどん成長させ、最終的にA君は大金持ちになりました。

この物語を聞いたり見たりした人は「ああ、よかったね」とすっきり浄化される。
これがナラティブストラクチャーです。

上司が部下に話をする時も、「欲求」「障害」「葛藤」「達成」「浄化」の
5つのステップを踏んだ物語に変換して話を伝えると、部下の心に響くようになります。

●サスペンスを作り出せ
ナラティブストラクチャーでカギとなるのが「障害」と「葛藤」です。
邪魔者や障害が現れてそこで葛藤し、その後に「達成」するからこそ、
人は感動するのです。 障害と葛藤がなければドラマは生まれません。

たとえば、先ほどの Boy Meets Girlの話もそうです。「男の子が女の子に
出会ってその女の子を好きになり、告白したらすぐに女の子がOKしました。
「めでたし、めでたし」では全く面白くありません。感動する物語には、
「障害」と「葛藤」が必ず必要なのです。

小説や映画の世界では、この「障害」と「葛藤」のことを「サスペンス」と呼びます。
サスペンスの語源は「サスペンド (suspend)」、それを形容詞的に用いると
「サスベンデッド(suspended)」となり、「宙づりにされた」という意味になります。
人は宙づりにされれば、もちろんハラハラドキドキします。
物語も同様で、サスペンスを交えると人はハラハラドキドキし、それを乗り越えて
達成することで、人は「ああよかった」とカタルシスを感じ、感動するのです。

上司が部下にナラティブストラクチャーで話す時は、とくに「障害」と「葛藤」を
意識して作り出すこと。 サスペンスで部下の感情を揺さぶり、その後に「達成」、
「浄化」とたどることで、上司の話は部下にグッと伝わりやすくなるのです。

●無機質な話に命を吹き込む
たとえば、ある部署の今年度の売上目標が1億円になったとします。そこで上司が部下
に言います。「目標金額が1億円になりました。皆で頑張ろう」。

こんなつまらない話し方では全く部下に伝わらず、部下はやる気もでないでしょう。
では、これをナラティブストラクチャーで話すとどうなるか? まず欲求、つまり
ビジョンの話をします。「オレたちはこの地域でナンバー1になりたいと思っている」と。
しかし、 そこには障害があります。「ところが今のままではとても無理だ」
「この状況では競合のA社やB社には勝てない」。そこで「では、オレたちはどうするのか」
「1億円はキツイから、あきらめて目標を下げるのか」と葛藤します。

そして「いや、オレたちなら1億円にチャレンジできる」「オレたちには経験がある」
「優秀な人材もいる」と達成に向けての夢を広げ、
「だから1億円の目標を、皆で頑張ろう!」と上司が部下に伝えます。

このように、ナラティブストラクチャーで話すと、急に売上目標の話が生き生きと
してきます。ナラティブストラクチャーは、どんな無機質な話にも命を吹き込むことが
できるのです。

ところが、自分の情熱を押し付ける情熱パカな上司は、
「1億円!!1億円だぞ!!皆で頑張ろうーー!!」と大声で話すだけ。これでは部下は
シラけるばかり。「はあ?」「1人で何盛り上がっているの?」と、ついてきてはくれません。
上司が部下に話を伝え、部下に共感してもらい、動いてもらいたい時は、自分の情熱を
押し付けるのではなく、ナラティブストラクチャーで部下の感情を揺さぶること。
これが大切なのです。

Top