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11月16日配信 小倉広メルマガ vol.227 『 愛情と期待を伝えると伝わる』



vol.227「愛情と期待を伝えると伝わる」
出典:なぜ、上司の話の7割は伝わらないのか

-ピグマリオン効果とゴーレム効果
「ピグマリオン効果」と呼ばれる心理効果があります。簡単に説明すると、
「相手に期待するとその期待が相手に伝わり、相手が頑張る」ということです。
その逆が「ゴーレム効果」で、「相手をダメだと思うと、本当にその人は
ダメになっていく」という効果です。

たとえば上司が部下に、「君ならきっとわかってくれる」と期待した結果、
部下に上司の話が伝わるのがピグマリオン効果。そして、上司が部下に対し
「どうせ君にはわかりっこない」と内心であきらめ、部下に上司の話が
伝わらないのがゴーレム効果だとしたら。「部下に話が伝わらないんですよ」
と言うあなたは、もしかしたら心の中で「どうせ言っても無駄だろう」と思いながら、
部下に話を伝えているのではありませんか? それこそがまさにゴーレム効果です。

つまり、上司が思ったことがそのまま部下に伝わり、部下が上司の期待通りになる、
ということ。上司が思いを口に出そうが出すまいが関係なく、上司の本心は部下に
伝わります。何しろ、「上司は部下を見抜くのに3年かかるが、部下は上司を3日で見抜く」
のですから。上司が部下に話を伝えたいと思っているならば、口先だけで話すのではなく、
「部下ならわかってくれる」と、心の底から本心で部下に期待することが大切なのです。

-取引交換をしない
「部下に対し愛情と期待を持ちましょう」「その愛情と期待を部下にきちんと伝えましょう」
とお話しすると、よく次のように言われます。「それが大切なのはわかっていますが、
無理ですよ」「なぜなら、部下は売上をちっとも上げないし、頑張ろうという気もありません」
「そんな部下に愛情や期待なんて持てませんよ」と。

しかし、①項でもお話ししましたが、売上を上げたら認めてあげる、期待してあげる
というのは、成果承認であり、取引交換です。上司と部下に限らず夫婦間や親子間にも
ありがちですが、そもそも取引交換をするような愛情や期待は本物ではありません。
愛情や期待は取引した時点で、それは愛情でも期待でもなくなるのです。

とはいえ、企業で無償の愛情や期待を相手にささげ続けろというのは、正直、非常に難しい。
しかし自分の部署にいる以上は、その部下は仲間です。たとえどんなにその部下が
ダメだとしても、上司は愛情と期待を部下に伝え続けるしかない。そう私は考えます。

部下に対する期待をやめた瞬間に、上司は自分の仕事を放棄したことになります。
部下がチームの一員であるい限りは、部下が成果を出すよう期待し続けるのが
上司の仕事だからです。ですから上司は、交換取引をせずに部下に愛情と期待を伝えて
部下の感情を揺さぶり、部下が動いてくれることを願います。そして、どうすれば部下に
話が伝わり、部下が動いてくれるのか、上司が試行錯誤を続けていくしかないのです。

-あなたに任せた
私は「人間塾」という勉強会を主催しています。その勉強会の規模が大きく
一緒に運営をしてくれるボランティアスタッフの人たちも増えて100人ほどになりました。
その人数をまとめるためにはリーダーが必要なので、何人かの方にリーダーになって
もらっています。先日、その方々とリーダー会を行い、その場で新しく2人の方にリーダーを
お願いしたところ、その2人の方がとても不安そうな顔をしていました。
そしてその後、1人の方が私のところに来て、「現場でこういうことが起こっているのですが、
どう判断したらよいでしょうか?」「これをしたいと思っているのですが、いいでしようか?」
と尋ねてきました。私は「私に聞かずに、あなたが決めてくださっていいんですよ。
太田さん (仮名)に任せたんですから」と言うと、太田さんは、「でも、ちょっと不安ですし」
「もし小倉さんの意向と違うことをしてしまったら、迷惑をかけますし」
と申し訳なきそうに話します。

そこで私は、太田さんに次のようにお伝えしました。「いえいえ。たとえ私と違うことを
言ってしまったとしても、それでいいのですよ」「リーダーをお願いできるのは太田さんを
置いて他にありません。ですからたとえ太田さんが私の考えと 多少違った発言をしても
かまいません。私は太田さんに任せたのだから、太田さんのやり方でやってもらいたいのです。
太田さんが一生懸命考え、判断したのであれば、それが正解なのです」と。そう話すと、
太田さんは涙ぐんでしまいました。「そんなふうに 言ってもらえるなんて。
期待に応えられるよう全力で頑張ります」と。

多くの上司はつい、「オレが言う通りにやれ。そうすれば愛情を注ぎ、期待をしてやる」
と条件を付けてしまいます。しかしそうではなく、上司は取引交換のない愛情と期待を持って
部下に任せなくてはなりません。そうすれば、部下は上司に信頼されている喜びと安心感を
感じてプレッシャーから解放されます。そしてこの上司のために頑張ろうと、
部下が上司に共感してくれるのです。部下に共感されれば、
もちろん上司の話は伝わりやすくなる。そういうわけです。

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