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11月10日配信 小倉広メルマガ vol.225 『 他の人のスピーチを聞くときに下を向いている人は、仕事で行き詰まる』



vol.225「他の人のスピーチを聞くときに 下を向いている人は、仕事で行き詰まる」
出典:成長する人は知っている28の小さなきっかけ

「…ということで、ぜひ来期こそは、目標を必達させるべく、みんなで努力して
参りましょう!以上!」
事業部長のスピーチが終わると、皆は一斉に拍手をしました。
しかし、私が見る限り「きちんと」拍手をしている人は3割ほど。
残りの7割の人は、気のない、形だけの拍手をバラバラとしているように見えました。

それだけではありません。事業部長のスピーチの最中に、所在なさそうに地面を
ぼーっと見て、下を向いている人がほとんど。事業部長の言葉に応えて
アイコンタクトをする人は1割ほど。
うなずいている人は皆無でした。同社をコンサルタントという立場で
支援している私は「これは良くないな…」と思い、部外者でありながらも
「はい!」と手を挙げ、一言述べさせていただくことにしたのです。

「すみません。部外者の私ですが、一言だけ。皆さん、唐突ではありますが、
『愛情の反対は何か』ご存知ですか?」

私の唐突な質問に驚いたのか、それまで下を向いていた人が全員、ハッと顔を
上げました。

「おっ!皆さん、顔を上げてくれましたね。嬉しいなぁ。こうやって、私の顔を
見ながら、アイコンタクトをして話を聞いてもらえると私は『愛情』を感じて、
思わず嬉しくなります」

すると、何名かの人がニコリと笑ってくれました。しかし、まだまだ9割以上の人は
無表情のままです。
私はかまわずに続けました。

「愛情の反対は何でしょうか? そうだなぁ。目が合った中村さん(仮名)、
何だと思いますか?」

唐突に私から当てられた中村さんは驚いた表情のまま答えました。

「憎しみ、でしょうか?」。

私は予想通りの答えが返ってきたことで安心して「惜しい!」と答えました。

「憎しみ、は実は愛情の裏返し。つまり、愛が残っていないと憎しみには
ならないんですね。そうではなく、愛の反対は『無関心』だといいます。
人は 『無視 』されるのが一番辛いんですね。本当に愛がなくなると、
人は相手に『無関心』になるらしいのです」。

私はそこで、全員の顔をぐるりと見渡してから、こう続けました。

「では、皆さんに質問です。この会において皆さんは、発言する人に対して
『愛情』を注いでいましたか? それとも『無関心』 でしたか?」

ハッとした表情の人が数名。そして、多くの人は「?」とばかりに、私のメッセージを
理解できない、という不思議そうな表情を浮かべました。私は解説を続けました。

「愛情」を注ぐ、とはすなわち、話している人に向かって、目を合わせ、
アイコンタクトをし、笑顔を返し、うなずくこと。つまり「あなたの話に興味が
ありますよ」「私はあなたの話を聞いていますよ」と積極的に相手に伝える
ような聴き方をする、ということです。これとは逆に「無関心」でいる、
ということは、相手と目を合わさず、うなずかず、 無表情でいること。
積極的に相手に「聞いています!」というメッ セージを伝えない、ということですね。
それはすなわち「無関心」であることを相手に伝えていることになるのです。

私がそのように伝えると、私に当てられた中村さんは、遠慮がちに小さく
手を挙げると、こう質問をしてくれました。

「あの…。私は、話している人に対して関心はあって、決して無関心では
 なかったのですが、小倉さんが言うようなことは何一つしていませんでした。
 ずっと下を向いていたように思います。でも、心の中では聞いていました。
 それでも、下を向いていると『無関心』ということになるのでしょうか? 」

「その通りです」私は即答しました。

「中村さんの心はそうではなかった、というのはわかりました。しかし、中村さんの
 態度は『無関心』そのものだったのです。そして、それは話している人に伝わって
 いたのですよ」

そうだったんですか…。中村さんはショックを受けた様子でした。コミュニケーションに
おいて、肯定的な言葉やボディーランゲージは「愛情」を意味します。しかし、「ゼロ」
すなわち、ネガティブではないけれど、ポジティブな言動をしない、という状態は相手に
とっては「無関心」すなわち「ゼロ」ではなくむしろ「マイナス」を意味するのです。

つまり本人はプラスでもなくマイナスでもない。まさにプラスマイナスゼロのつもりで、
下を向き、無表情で気のない拍手をしていたとしても、それは話している人に対しては
マイナスの影響を与えてしまう。
「私はあなたの話に対してはまったく関心がありませんよ」というメッセージを
発してしまうのです。そして、それに対して本人は無自覚です。私はプラスでも
マイナスでもなくゼロである。そう思っているのです。

一方で、何もしないことがゼロではなくマイナスを示す、ということを知っている人は
積極的にプラスの愛情を伝えようと努力します。アイコンタクトをし、笑顔を返し、
うなずくのです。もちろん、拍手は大きな音で、相手に聞こえるように努力します。
それはすなわち、相手への「愛情」がある、ということ。相手のために献身している
サインなのです。

自分が話すわけでもない、誰かのスピーチの場面。

その場面こそあなたの真価が問われている。誰かに見られているのです。

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