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10月15日配信『続・会社で働く苦しみをなくすシンプル思考』



10月12日(金)「会社で働く苦しみをなくすシンプル思考」と題してコラムをお届けした。
→ http://ameblo.jp/hiroshiogurajp/entry-11380282954.html

私の22冊目(海外翻訳版を含めると28冊目)の著作『会社で働く苦しみをなくすシンプル思考』(幻冬舎)の序章を二回に分けてお届けしているのだ。
http://j.mp/Rke29s

本日は、前回の続編にあたる。引き続き同書の序章をお楽しみいただきたい。

■ 初めての管理職、プレッシャーでうつ病に・・・
そんな風に自由と自己責任あふれるコンサルタントの仕事を満喫していた僕は、着任半年でいきなりチームを束ねる管理職に指名された。順風満帆で仕事を楽しんでいた僕は気軽にそれを受け容れた。ところが、これが後に大きな問題となる。
コンサルタントという仕事はある程度の経験と年齢が必要だ。だから、メンバーは全員30歳になりたての僕よりも年上、そして社歴や経験も僕よりもすべて上だった。僕は彼らとどう接していいのかわからなかった。だから、はじめは年上として敬うことから始めた。そして彼らを尊重し「お任せします」と皆に伝えた。
ところがこれが仇となった。僕はそこからフラフラと右に左にと蛇行運転を始めてしまったのだ。「任せます」と伝えたものの、見ているとそのやり方にガマンできなくなる。だから途中で口出しをする。すると口出しをされた先輩たちは腹が立つ。「なんだ、任せるっていったじゃないか」。そんなことを繰り返すうち、僕はあっという間にメンバーに愛想をつかされた。隣のチームを見ると実に仲が良く、うまくやっているように見えるのに……。
 それを知ってか知らずか、上司は「あっちのチームはうまくやっているなぁ。おまえのところは大丈夫か?」とプレッシャーをかけてくる。僕は段々と自分がリーダーをやっていることが申し訳なくなってきた。きっと彼らもあちらのチームに行きたいに違いない。僕はメンバーに対して申し訳ない、という気持で一杯になった。
 「オレはリーダー失格だ」。毎日、繰り返し、自分を責めているうちに僕はあっという間にうつ病になった。そして、こっそりと精神科へ通院しながら課長の仕事を続けた。しかし、そんなことは長くは続かない。
 「申し訳ありません。課長から降ろして下さい……」。僕は上司に頭を下げた。そして、再び「会社」で働くことの苦しさを感じ始めていた。

■ 一人で空回り。部下が誰もついてこない
その後、僕はコンサルタントとしてプレイヤーに逆戻りし、たちまち元気を取り戻した。そして、ひょんなことから、11年努めたリクルートという会社を離れることとなる。当時、僕が担当していたクライアントのベンチャー企業に役員として移ることとなったのだ。
そして、そこを皮切りに株式公開前後の会社で数社役員を務めた後、現在の会社を創業したばかりの現会長と共にイチから会社を立ち上げることとなる。小さいながらも初めての起業。しかも、これまでのような、雇われ社員、雇われ役員とは違うオーナーという立場だ。僕は大いに張り切っていた。しかし、その張り切りが空回りに変わるとは、当時は想像もしていなかった。
そう。僕はその後、数年間、徹底的に空回りを経験することとなる。僕が指示命令をしても部下が動かない。しかも、面と向かって反対してくれるわけではない。「はい、わかりました」と返事をしながらも、やるべきことをやってくれない。いわゆる面従腹背というヤツに、繰り返し襲われることになるのだ。
僕は自分が直面している状況が飲み込めなかった。「なぜ社長の言うことに従わないのか?」。上司が命令すれば、部下は言うことを聞くのが当然だと思っていた僕は、うまく状況が飲み込めずに混乱を続けた。そして、さらに空回り以上の苦しみに出会うこととなるのだ。

■部下が反発して辞めていく
 「はい」と返事をしてやるべきことをやらない。そんな面従腹背に業を煮やした僕は、さらに指示命令を強くした。曖昧さを排除して白黒をもっとはっきりつけるようにした。仕事の期限を厳格に区切り、報告連絡を強制的にさせた。徹底的に管理を強め、部下が言い訳をできないようにしたのだ。すると、部下の表情がどんどんと暗くなっていった。そして、僕のいないところで彼らがコソコソと僕の批判をするようになっていった。
 やがて、僕は社員から総スカンを食らうようになった。「社長が社員から総スカンを食らう、だと?」。僕は想像もしなかった事態に愕然とした。しかし、僕が彼らに言っていることは間違っていないはずだ。なぜ彼らはそれに反発をするのだ?僕は引き続き、問題の原因を彼ら社員に求め続けた。おまえたちが間違っている、と。
やがて、彼らは櫛の歯が抜けるようにポロポロと退職していった。僕はそれを仕方がないことだと思っていた。もちろん、良いことだとは思わない。しかし、組織の成長について来ることができない社員が辞めていくのはままあることだ。だから、それは僕のせいではない。彼らの根性がないからだ。僕はそう自分を納得させた。
 しかし、その後から入ってくる社員たちも同じように面従腹背し、やがて反発し、辞めていく。そんなことが、何度も何度も、繰り返された。
 僕は思った。「もう、こんな会社畳んでしまえ。社員なんて要らない。一人の方がどれだけラクか」と。そう、僕はオーナー社長という立場になってまで「会社」で働くことがイヤになってしまったのだ。

■ 僕の苦しさはどこから来ていたのか?
 今から考えればわかる。僕の苦しみがどこから来ていたのか。しかし、当時の僕にはわからなかった。皆目、見当もつかなかったのだ。
 それもこれも、僕が原因を外に求めていたからだ。悪いのは「会社」。悪いのは「部下」。問題の原因を考える時、常、選択肢の中に「自分」はいなかった。だから、皆目見当がつかなかったわけだ。
 いや、もっと正確に言おう。当時の僕は、選択肢の中に「自分を入れたくなかった」のだ。「自分が悪い」と認めたくない。認めることができない。だから、常に問題の原因を外に求めていたのだ。
 しかし、それは長くは続かなかった。幸か不幸か、当時の僕は、問題の原因を他人のせいにすることができない環境にあった。商品のせいにできない「コンサルタント」という仕事。上司や部下のせいにできない「社長」というポジション、がそれだ。そんな環境で、もうこれ以上逃げることができなくなった時、ようやく僕は自分に矢印を向け始めた。もしかしたら、原因はオレだったんじゃないのか?と。
 そして、世界がひっくり返るような発見をし、それ以後毎日、悔恨の日々を送るようになっていったのである。
 それは辛く苦しい体験であった。しかし、同時に「これまでの苦しさ」から抜け出す根本的な「癒し」と「回復」の日々でもあった。僕はこれまで味わったことのないような苦しみに立ち向かい、そのことにより逆にこれまで僕を苛んで来た「会社で働くことの苦しさ」から、初めて抜け出すことになっていったのだ。

■ 「苦しみ」から抜け出すための体系書
 本書はそんな僕が体験から学んだ「会社で働く苦しみから抜け出す」ための体系集である。僕はそのために、自分の頭でとことんまで考え抜き、そして心理学や哲学や仏教などの本をむさぼり読んだ。カラカラに干上がったスポンジが水を吸うように、本に書いてある内容は僕の腑に落ちた。そして、自分なりの「生き方」の体系ができあがった。それをこれから皆さんと一緒に紐解いていきたいと思う。

……。本編の続きは、こちらへ。
『会社で働く苦しみをなくすシンプル思考』(幻冬舎)
→ http://j.mp/Rke29s

以上

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